「無駄な税金ランキング」と検索すると、実は2つの異なる話が混ざって出てきます。ひとつは「国民がどの税金に一番納得できていないか」というアンケートベースのランキング、もうひとつは「国(行政)が実際に税金をいくら無駄遣いしたか」という会計検査院の報告です。この記事では、公開されている複数の調査データをもとに両方を整理したうえで、個人としてできる「無駄な税金」を減らす方法まで一気にご紹介します。
共通して上位に入るのは所得税・消費税・住民税の3つです。詳しい内訳は次の章で解説します。
国民が「納得できない・ムダ」と感じる税金ランキング
「無駄な税金」を客観的に測る公式な指標はありません。そこで本記事では、実際に一般の方を対象に行われた2つのアンケート調査を並べてご紹介します。調査の対象・時期が異なるため、結果にも違いが出ている点に注目してみてください。
調査1|「納得できない税金」ランキング(2015年調査)
20〜30代の男性会社員200人を対象に「課税される理由や用途が納得できない税金」を聞いたアンケートです。1〜3位を選んでもらい、1位を3pt・2位を2pt・3位を1ptとして集計しています。
| 順位 | 税目 | ポイント |
|---|---|---|
| 1位 | 所得税 | 164pt |
| 2位 | 消費税 | 163pt |
| 3位 | 相続税 | 144pt |
| 4位 | 市町村民税(住民税) | 119pt |
| 5位 | 固定資産税 | 117pt |
| 6位 | 贈与税 | 104pt |
| 7位 | 自動車重量税 | 100pt |
| 8位 | 自動車税 | 97pt |
| 9位 | 入湯税 | 42pt |
| 10位 | たばこ税/たばこ特別税 | 40pt |
出典:「課税理由や用途が納得できない税金」アンケート(アイリサーチ調べ、2015年5月Yahoo!ニュース掲載)
この調査は2015年に実施されたものです。税制はその後何度も改正されており、あくまで「当時、給与所得者がどう感じていたか」の参考値としてご覧ください。同規模で追跡調査された最新版は見つかりませんでした。
調査2|「最も負担に感じる税金」ランキング(2022年調査)
全国18歳以上の男女200人を対象に、2022年12月に実施されたインターネット調査です。「最も負担に感じている税金」を1つ選んでもらう形式で集計されています。
| 順位 | 税目 | 回答数 |
|---|---|---|
| 1位 | 消費税 | 78人 |
| 2位 | 住民税 | 26人 |
| 同率3位 | 所得税 | 25人 |
| 同率3位 | 年金保険料 | 25人 |
| 5位 | その他(たばこ税・固定資産税など) | 18人 |
| 6位 | ガソリン税 | 17人 |
| 7位 | 健康保険料 | 9人 |
| 8位 | 株式にかかる税金 | 2人 |
出典:「最も負担に感じている税金は…」まいどなニュース(mellow調べ、2022年12月・全国18歳以上200人対象)
2つの調査を比べてわかること
調査時期も対象者も違うのに、所得税・消費税・住民税は両方の調査で必ず上位5位以内に入っています。理由として多かったのは「給与明細や日々の買い物で目にする機会が多く、負担を実感しやすい」という声でした。一方、相続税や贈与税のように「一部の人だけが対象」の税金は、対象者の年齢層によって順位が大きく変わる傾向も見えます。
なぜその税金は「ムダ」と感じられるのか
ランキング上位の税金には、それぞれ「不満の理由」に共通するパターンがあります。ここでは代表的な税目ごとに、実際のアンケート回答をもとに整理しました。
消費税|生活に密着しているからこそ実感しやすい
消費税は買い物のたびに10%(軽減税率対象は8%)が上乗せされるため、「使うたびに意識してしまう」税金です。回答では「日用品やお酒は10%かかるので厳しい」「収入が減っても払わないといけない」など、所得に関わらず一律で課税される点への不満が目立ちました。
所得税・住民税|「見返りが見えない」不満
所得税・住民税は給与明細で天引きされるため、手取りが減る実感がダイレクトに伝わります。特に住民税については「納めた額に対して享受できるサービスが少なすぎる」という声が多く、税金そのものより「使い道が見えないこと」への不満が根底にあるようです。
固定資産税・自動車税・相続税|「保有」への課税への抵抗感
固定資産税や自動車税は、モノを買った後も毎年課税され続けるのが特徴です。「せっかくマイホームを持っても負担が増えるだけ」「持っているだけで税金がかかるなら持つ人が減る」といった声が象徴的で、購入時だけでなく保有し続けることへの課税に抵抗感を持つ人が多いことがわかります。相続税も同様に、「家計をともにしていたのに課税される」という納得しづらさが指摘されていました。
国の税金の無駄遣い、実際いくら?会計検査院データで見る実例
ここまでは「国民がどう感じているか」という主観的なランキングでした。もう一つの「無駄な税金」の意味である、行政による実際の無駄遣いについても数字で見てみましょう。
2023年度は345件・約648億円を指摘
会計検査院がまとめた2023年度決算検査報告では、税金の無駄遣いや改善を求める事項が345件・総額約648億6,000万円にのぼりました。このうち294件は法令違反などの「不当事項」と判定され、指摘額は全体の約12%にあたる約77億3,600万円です。具体例として、中小企業向け「IT導入補助金」の不正受給や、「人材開発支援助成金」の不適切な支出などが確認されています。
出典:時事ドットコム「税の無駄など648億円 指摘額増、1割超は『不当』―23年度決算報告・検査院」 / 共同通信配信記事
過去の代表例|アベノマスク(契約総額約260億円)
行政の税金の使い方が問題視された例として記憶に新しいのが、新型コロナウイルス対策として全世帯に配布された布製マスク、いわゆる「アベノマスク」です。2020年6月時点で契約総額は約260億円(マスク調達費約184億円+配送費等約76億円)と公表されました。その後、2021年10月時点で約8,300万枚が配布しきれず倉庫に保管され、保管費用を含め約115億円相当にのぼることも判明しています。
ちなみに国の税金(国税)の使い道で最も割合が大きいのは「社会保障」で、次いで「国債費(借金の返済・利子)」「地方交付税交付金」と続きます。会計検査院が指摘する「無駄遣い」は、こうした予算全体の中の一部の不備・不正を指すものであり、税金の使い道そのものが全て無駄というわけではありません。
個人が「無駄な税金」を減らすためにできること
国の使い道は個人にはコントロールできませんが、自分が払う税金の負担は、制度を知っているかどうかでかなり変わります。ここでは、知らずに払いすぎているケースが多い代表的な制度を3つご紹介します。
ふるさと納税で住民税・所得税を実質2,000円負担に
ふるさと納税は、寄付額のうち2,000円を超える部分について所得税・住民税から控除を受けられる制度です。厳密には「翌年の税金の前払い」に近い仕組みで節税そのものではありませんが、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れるため、ランキング上位だった住民税・所得税の負担感を和らげる手段として活用している人が多い制度です。
固定資産税・自動車税は「払い方」でポイント還元を得る
固定資産税や自動車税は金額そのものを減らすのは難しい税金ですが、支払い方法を選ぶだけでポイント還元を受けられる場合があります。例えば固定資産税を楽天ペイで支払うと、条件次第で最大2.6%相当のポイントが還元されるケースも。「払わなければいけない税金なら、少しでも得な払い方を選ぶ」という考え方です。
医療費控除・iDeCoなど見落としがちな控除
年間の医療費が一定額を超えた場合に使える医療費控除や、掛金が全額所得控除になるiDeCo(個人型確定拠出年金)なども、申告しないと自動では適用されない制度です。「知らなかったから使わなかった」という払いすぎを防ぐためにも、自分が使える控除を一度確認しておくのがおすすめです。
よくある質問
いいえ、政府や国税庁が公表している公式な「無駄な税金ランキング」はありません。本記事で紹介しているのは、民間企業が実施したアンケート調査に基づく「納得できない税金」「負担に感じる税金」のランキングです。
調査によって結果は異なります。2015年のアンケート調査では所得税が1位(消費税とわずか1pt差の2位)、2022年の調査では消費税が1位という結果でした。共通して上位に入るのは所得税・消費税・住民税の3つです。
会計検査院の2023年度決算検査報告では、345件・約648億6,000万円の無駄遣いや不適切な支出が指摘されています。
厳密には「節税」ではなく、翌年の税金の一部を前払いする仕組みです。ただし自己負担2,000円で寄付先から返礼品を受け取れるため、実質的にお得になるケースが多い制度です。
ふるさと納税、医療費控除、iDeCoなどの制度を活用することで、実質的な税負担を減らせる場合があります。また固定資産税や自動車税のように金額を減らせない税金でも、支払い方法を工夫することでポイント還元を受けられることがあります。
まとめ
- 「無駄な税金ランキング」には、国民の不満度を示すアンケート調査と、行政の無駄遣いを示す会計検査院データの2種類がある
- 不満度調査では所得税・消費税・住民税が共通して上位。「生活に密着している」「見返りが見えない」ことが主な理由
- 会計検査院の2023年度報告では345件・約648億円の無駄遣いが指摘されている
- 個人でできる対策としては、ふるさと納税・医療費控除・iDeCoの活用や、固定資産税・自動車税の支払い方法の見直しが有効
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