「定期預金は安全だから」とよく聞きますが、すべての人に向いているわけではありません。インフレが進む2026年現在、定期預金の金利よりも物価上昇率の方が高い状態が続いており、向いていない人が預け続けると、実質的に資産が目減りするリスクがあります。この記事では、定期預金が向いていない人の特徴と、向いていない人が取るべき代替案を解説します。

結論
定期預金が向いていない人の特徴(チェックリスト)
  • 資産を積極的に増やしたい人
  • まだ生活防衛資金が十分でない人
  • インフレから資産価値を守りたい人
  • 近いうちに資金を使う可能性がある人
  • 1,000万円を超える資金を1つの銀行に預けている人

定期預金が向いていない人の特徴

上のチェックリストに1つでも当てはまる方は、定期預金が本当に自分に合っているかを見直してみる価値があります。それぞれ詳しく解説します。

資産を積極的に増やしたい人

2026年6月現在、メガバンクの定期預金金利は1年もので年0.40%。100万円を1年間預けても税引き後の利息は約3,187円にとどまります。株式インデックスファンドや不動産投資と比べると、リターンの差は大きいです。

「老後のために資産を増やしたい」「10年後に資産を2倍にしたい」という目標がある方にとって、定期預金だけでは力不足です。リターンを求めるならば、NISAを使ったインデックス投資など、別の選択肢を検討しましょう。

まだ生活防衛資金が十分でない人

定期預金は原則、満期まで引き出せません。急な病気、失業、家電の故障などのイレギュラーな出費が重なったときに、定期預金に資金を入れていると中途解約を余儀なくされます。

一般的に、生活防衛資金の目安は生活費の3〜6ヶ月分です(会社員は3〜6ヶ月、フリーランスは6ヶ月〜1年分が目安)。この生活防衛資金が普通預金にしっかり確保できていない段階で定期預金に資金を移してしまうと、緊急時に困ることになります。

確認してみましょう:現在の普通預金残高は、毎月の生活費(家賃・食費・光熱費等の合計)の3ヶ月分以上ありますか?「NO」の方は、定期預金よりも先に生活防衛資金を確保する段階です。

インフレから資産価値を守りたい人

2026年3月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比+1.8%と上昇しています。一方、メガバンクの定期預金金利は年0.40%。引き算すると、実質金利は約−1.4%という計算になります。

つまり、定期預金に預けておくだけでは、物価上昇分だけ購買力が目減りしていくわけです。100万円を1年間預けた場合、利息は約3,187円(税引き後)ですが、インフレで失う購買力は約18,000円。差し引きで見ると、実質的にはお金が減っている状態です。

近いうちに資金を使う可能性がある人

定期預金は、満期前に解約すると当初の約定利率より大幅に低い中途解約利率が適用されます。金融機関によっては、ほぼ無利息に近くなるケースもあります。

「半年後に車を買い替えるかもしれない」「1年以内に引っ越しがありそう」といった方は、資金を長期間ロックしてしまう定期預金は向いていません。こうした目的資金は、使いたいときにすぐ引き出せる普通預金や、満期までの期間を短く設定した商品で管理する方が安心です。

1,000万円を超える資金を1つの銀行に預けている人

定期預金には預金保険制度が適用されますが、保護されるのは1金融機関ごとに元本1,000万円までと破綻日までの利息が上限です。

同じ銀行の普通預金と定期預金は合算して判定されます。たとえばA銀行に普通預金600万円+定期預金600万円の計1,200万円を預けている場合、保護対象外の200万円は金融機関が破綻した際に全額戻らない可能性があります。1,000万円を超える場合は、複数の金融機関に分散して預けることが基本です。

なぜ定期預金はこれらの人に向いていないのか

定期預金の何がどう問題なのか、もう少し具体的に見てみましょう。

金利が低く、インフレに負ける

2026年6月現在の金利環境をざっくり比較してみましょう。

商品 金利(年率・参考) 特徴
メガバンク定期預金(1年) 年0.40% 元本保証・流動性低い
コアCPI(2026年3月) 前年比+1.8% 物価上昇率
個人向け国債(変動10年・2026年6月) 年1.74% 半年ごとに金利見直し
SBIハイパー預金 年0.50% 普通預金型(流動性あり)

100万円を1年間メガバンクの定期預金(年0.40%)に預けた場合の税引き後利息は約3,187円。しかし、インフレ率1.8%で失う購買力は約18,000円。差し引きでは約14,800円分の価値が目減りする計算です。

「元本が減らないから安全」というのは、あくまで額面上の話です。物価が上がれば、同じ金額で買えるものは少なくなっていきます。特に長期で資産を形成しようとしている方には、この実質マイナスの影響は無視できません。

中途解約すると金利が激減する

定期預金の大きな制約の一つが、途中で引き出せないことです。満期前に解約する「中途解約」は可能ですが、当初の約定利率よりも大幅に低い中途解約利率が適用されるのが一般的で、ほとんどメリットがなくなるケースもあります。

また、金融機関によっては窓口での手続きが必要だったり、一部だけの解約ができなかったりする場合もあります。急な出費に対応しにくい点は、常に念頭においておきましょう。

中途解約の手続き方法や利率は金融機関・商品によって異なります。申し込み前に「中途解約利率」と「解約の手続き方法」を必ずご確認ください。

満期後に自動継続になる場合がある

多くの定期預金は、満期を迎えると自動的に同じ期間で更新される「自動継続」が設定されています。うっかり満期に気づかないでいると、引き出したかったお金がまた一定期間ロックされてしまいます。

特に長期の定期預金の場合、満期日が1年以上先になるため、「気づいたら更新されていた」というケースは珍しくありません。定期預金を始める際は「自動解約(満期解約)」を選択するか、満期日をスマートフォンのカレンダーなどに登録しておく習慣をつけておきましょう。

長期固定は金利上昇の恩恵を受けにくい

3年・5年といった長期の固定金利定期預金に預けてしまうと、その後日銀が追加利上げをして他の商品の金利が上がっても、手持ちの定期預金の金利はそのまま。金利上昇の恩恵を受けられません。

「今後も金利は上がりそう」と感じている方や、金利の動きに合わせて柔軟に対応したい方には、長期の固定金利定期預金は向いていません。個人向け国債(変動10年)のように半年ごとに金利が見直される商品や、短期定期を使って満期ごとに見直す方法が有効です。

一方で、定期預金が向いている人の特徴

定期預金が「おすすめしない」と言われることも多いですが、向いている人も確かに存在します。自分が向いているか向いていないかを正確に判断するために、両方を確認しておきましょう。

向いていない人
  • 資産を積極的に増やしたい
  • 生活防衛資金がまだ少ない
  • インフレに負けたくない
  • 近いうちに使う予定がある
  • 1,000万円超を1行に預けている
向いている人
  • 使う時期が決まった目的資金がある
  • 手元にお金があると使いすぎてしまう
  • 価格変動がある商品は不安
  • 強制的に貯蓄したい

使う時期が決まっている目的資金がある人

「2年後に子どもの入学費用が必要」「3年後に住宅の頭金を用意したい」など、使う時期と金額がはっきりしている場合は、その期間に合わせた定期預金は有効な選択肢です。元本が減らないので計画が立てやすく、「ついうっかり使ってしまった」を防げます。

高金利のキャンペーンを実施しているネット銀行やオリックス銀行などの定期預金を活用すれば、メガバンクよりも有利な金利で積み立てることもできます。

手元のお金を強制的に守りたい人

「普通預金に入れておくと気づいたら使ってしまう」という方にとって、定期預金の「すぐに引き出せない」という制約は逆にメリットになります。強制的に一定期間お金をロックすることで、計画的な貯蓄習慣をつくる効果があります。

積立式定期預金を使えば、毎月一定額が自動的に定期預金に振り替えられるので、貯蓄が苦手な方にも取り組みやすい方法です。

定期預金が向いていない人が検討したい代替案

「自分は向いていないとわかった。では何をすればいい?」という方向けに、目的別に代替案をまとめました。

資産を増やしたい人 → NISA(インデックス投資)

長期・積立向け NISA(つみたて投資枠)

NISAは、運用で得た利益(売却益・分配金)が非課税になる制度です。通常、投資利益には約20.3%の税金がかかりますが、NISA口座ではかかりません。

2024年から恒久化された新NISAでは、年間投資枠は最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯の非課税保有限度額は1,800万円です。

ただし、投資信託や株式には価格変動リスクがあり、元本保証はありません。当面使う予定のない余裕資金で、長期(10年以上)を前提に取り組むことが基本です。

通常課税20.3% → NISA口座内では非課税

安全に少し増やしたい人 → 個人向け国債(変動10年)

安全性重視 個人向け国債(変動10年)

2026年6月募集分の個人向け国債(変動10年)の初回適用利率は年1.74%(税引き前)。メガバンクの定期預金(年0.40%)と比べると約4倍以上の水準です。

半年ごとに金利が見直されるため、金利上昇局面でも対応しやすいのが特徴です。1万円から購入可能で、発行後1年経過後は中途換金もできます(直前2回分の利子の一部が差し引かれます)。

ただし、定期預金のような預金保険制度の対象ではなく、発行から1年間は中途換金できません。

2026年6月募集 初回利率:年1.74%(税引き前)

流動性も確保したい人 → 高金利普通預金・SBIハイパー預金

流動性重視 高金利普通預金(SBIハイパー預金等)

「いつでも引き出せる状態を保ちたいけれど、少しでも金利が高いところに置きたい」という方には、高金利普通預金が選択肢になります。

SBI新生銀行の「SBIハイパー預金」は年0.50%(2026年5月13日現在)の金利で、普通預金と同様にいつでも引き出せます。メガバンクの普通預金(年0.30%)より高く、流動性を維持しながら少し利回りを上げられます。

auじぶん銀行は条件を達成すると最大年0.51%の普通預金金利が適用されます(2026年6月時点)。

SBIハイパー預金:年0.50%(2026年5月13日現在)

まとめ:定期預金が向いていない人と向いている人

  • 定期預金の金利(メガバンク年0.40%)はコアCPI(前年比+1.8%)を下回っており、実質金利はマイナスの状態が続いている
  • 資産を増やしたい人・生活防衛資金が不足している人・近く資金を使う予定がある人には向いていない
  • 使う時期が決まった目的資金の管理や、強制的に貯蓄したい人には有効な選択肢
  • 代替案の目安:増やしたい→NISA、安全に増やしたい→個人向け国債(年1.74%)、流動性重視→SBIハイパー預金(年0.50%)

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よくある質問

資産を積極的に増やしたい人、生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)がまだ確保できていない人、インフレに負けたくない人、近いうちに資金を使う可能性がある人、1,000万円を超える資金を1つの銀行に預けている人の5パターンが定期預金に向いていないとされます。

主なデメリットは3つです。①金利が低く、インフレ率(2026年3月時点で年1.8%)を下回るため実質的に資産価値が目減りする、②満期前に解約すると当初の約定利率よりも低い中途解約利率が適用される、③長期の固定金利商品では、その後金利が上昇しても恩恵を受けられない点です。

目的によって異なります。資産を増やしたい方にはNISAを使ったインデックス投資、安全に少し増やしたい方には個人向け国債(変動10年・2026年6月募集は年1.74%)、流動性を確保しながら少しでも高い金利を求める方にはSBIハイパー預金(年0.50%)やauじぶん銀行などの高金利普通預金が選択肢になります。

老後まで長期間ある場合は、定期預金だけではインフレに負ける可能性が高いです。元本を守ることは大切ですが、資産を増やす機能が弱いため、NISAを使った長期投資との組み合わせが現実的な選択肢です。老後が近い方は、個人向け国債や高金利定期預金を活用しつつ、資産の一部を運用に回す分散管理が有効です。

2026年6月現在、個人向け国債(変動10年)の初回適用利率は年1.74%(税引き前)で、メガバンクの定期預金(年0.40%)の約4倍以上の水準です。ただし、個人向け国債は発行から1年間は中途換金できず、預金保険制度の対象外です。「1年以上使わない資金」であれば個人向け国債、「万が一のため流動性が必要な資金」は普通預金や短期定期で管理するなど、役割を分けて使うのが有効です。

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