「見積もりを取ったら前より高くなっていた」「業者に塗料が値上がりしたと言われた」——そんな声が急増しています。2026年、塗料は過去最大規模で値上がりしました。その理由・値上げ幅・外壁塗装費への影響・今後の見通しまで、2026年5月時点の最新情報をもとにわかりやすく解説します。

結論
塗料値上げの要点:2026年は過去最大規模

2026年3〜5月にかけて、主要塗料メーカーが一斉に価格改定を実施しました。特にシンナー(溶剤)は50〜80%超という異例の値上げで、外壁塗装の工事費にも影響が出ています。

主な理由はホルムズ海峡の事実上の封鎖によるナフサ(塗料原料)の供給危機です。過去の値上げ歴史を見ると、一度上がった塗料が下がった事例はほぼなく、2026年もこの傾向は変わりません。

外壁塗装工事費への影響は、水性塗料を使う一般的な戸建ては約3〜5%(数万円)程度の上昇と見込まれています。

塗料が値上がりした理由【2026年】

「なぜこんなに急に?」と思われた方も多いのではないでしょうか。2026年の塗料値上げには、複数の要因が重なっています。

ホルムズ海峡封鎖とナフサ供給危機

2026年の塗料値上げで最も大きな引き金となったのが、ホルムズ海峡の事実上の封鎖です。

日本は石油輸入の約90%を中東に依存しており、特に塗料の原料となるナフサ(石油化学製品の元となる粗製ガソリン)は輸入の約7割を中東に頼っています。2026年2〜3月、中東情勢が緊迫化してホルムズ海峡の通航が大幅に制限されると、ナフサの供給が急激に滞りました。

その影響は数字に表れています。ナフサの市況はわずか2週間で1トンあたり600ドル台後半から1,100ドル前後へと急騰しました。この価格高騰が塗料の原料コストを直撃し、特にシンナー(有機溶剤)の値上げが突出して大きくなりました。

ナフサと塗料の関係

ナフサはプラスチックや合成樹脂、合成繊維、塗料など、現代の化学製品のほぼすべての「出発点」となる素材です。塗料に含まれる合成樹脂・顔料・添加剤の多くがナフサ由来であり、シンナー(溶剤)はほぼ100%ナフサから作られます。

円安・原材料費・物流コストの複合要因

ホルムズ海峡問題が引き金を引いた一方で、以前からの構造的な問題も重なっています。

  • 円安の進行:輸入原材料の円建てコストが上昇
  • 原材料価格の高騰:2022年頃からのコロナ後の需要急増・供給不安定が続く
  • 物流コストの増加:燃料費高騰に伴う運送費の上昇
  • 人件費の増加:職人不足・労務費の上昇

こうした複合的な要因により、2022年から2026年にかけて塗料は「段階的に値上がりを続けてきた」状況です。そこへ今回のナフサ危機が追い打ちをかけた形です。

水性塗料と油性塗料で値上がり幅が異なる理由

一口に「塗料が値上がった」と言っても、水性と油性(溶剤系)では値上がりの度合いが大きく違います。これは覚えておくと役立ちます。

油性塗料(溶剤系)は、希釈するためにシンナーが必須です。シンナーが今回50〜80%という異例の値上げを受けているため、油性塗料を使う工事のコストはより大きく跳ね上がっています。

一方、水性塗料は希釈にを使うため、シンナー急騰の直接的な影響は受けません。ただし、水性塗料も樹脂原料(エマルション・乳化剤など)がナフサ由来であるため、2026年5月以降は水性塗料も15〜25%程度の値上げが実施されています。

主要メーカー別の値上げ幅一覧【2026年5月最新】

「業者が言う値上がりは本当なの?」と思ったとき、このリストが判断材料になります。2026年3〜5月にかけて主要塗料メーカーが一斉に価格改定を実施しました。

メーカー 対象製品 値上げ幅 適用日
日本ペイント シンナー製品 75% 2026年3月19日発注分〜
日本ペイント 塗料本体 10〜20% 2026年4月16日出荷分〜
日本ペイント 塗料全般・直送運賃 追加改定 2026年6月1日出荷分〜
関西ペイント シンナー製品 50%超 2026年4月13日出荷分〜
エスケー化研 溶剤系塗料 20〜30% 2026年4月21日出荷分〜
エスケー化研 水性塗料 15〜25% 2026年5月11日出荷分〜
エスケー化研 シンナー 30〜80% 2026年4月1日出荷分〜
大信ペイント シンナー製品 60〜70% 2026年4月1日出荷分〜
スズカファイン 塗料製品 3〜10% 2026年2月

注目したいのは、大手・中堅問わず業界全体で同水準の値上げが起きているという点です。「あのメーカーは上がっていない」という逃げ道はほぼなくなっています。

「公式値上げ率75%」の先に、実勢価格3.75倍という現実があります

メーカー発表の値上げ率はあくまで「最低ライン」です。自動車・板金塗装業界向けの調査では、これまで1缶4,000円程度だったシンナーが実勢16,000円前後まで高騰したケースも報告されています。日本ペイントの公式値上げ率75%に対し、現場実勢は3〜4倍に達する事例も出ており、公式数字は最低ラインに過ぎません。

通販サイト(モノタロウ・楽天市場など)の公開小売実勢でも、ラッカーシンナー3.6kg〜4L缶が1万円台前半〜中盤で表示されており、これは誰でも確認できる水準です。施主が業者から見積もりを受け取る際は、「公式値上げ率○○%」という数字より、実際の見積もり金額を複数業者で比較することが重要です。

塗料値上げが外壁塗装の工事費に与える影響

「実際に工事費がいくら上がるの?」というのが、最も気になるところですよね。具体的に見ていきましょう。

シンナー急騰が油性塗料工事を直撃

油性塗料(溶剤系)を使う工事では、塗料本体に加えてシンナーが必要です。現場調査によると、2026年5月時点でシンナーの入手状況は「×」(入手困難・受注停止)となっており、値上げ幅は70%前後と見込まれています。

鉄部(フェンス・雨戸など)や木部は油性塗料を使うことが多いため、これらの塗装を含む工事は特にコスト増の影響を受けやすいです。

水性塗料も2026年5月から値上がり

「シンナーが上がっても、水性塗料なら大丈夫では?」と思われるかもしれません。しかし、2026年5月11日以降はエスケー化研を中心に水性塗料も15〜25%の値上げが実施されています。

水性塗料でも樹脂原料(エマルション・乳化剤・増粘剤)の多くはナフサ由来です。ホルムズ海峡の供給危機は水性・油性問わず波及しており、「水性に切り替えれば安い」という時代は2026年5月をもって終わりを迎えました。

一般的な戸建てで工事費はいくら上がるか

屋根修理専門店のテイガクが行った原価試算によると、水性塗料を使った一般的な戸建ての外壁塗装では上昇幅は約3万円程度(全体の3〜5%)と見込まれます。

工事の種類 工事費上昇幅の目安 備考
外壁塗装(水性塗料) 約3〜5%(数万円程度) 一般的な戸建て
屋根カバー工法(金属屋根材使用) 約10%前後 アイジー工業18%値上げ等の影響
外壁カバー工法(金属サイディング) 1棟あたり30万円前後 金属建材の大幅値上げの影響

30坪の戸建てで外壁塗装の費用相場は90〜110万円程度(2026年時点)です。この相場からさらに3〜5%程度の上乗せが発生していることになりますが、材料費が全体の約20〜30%を占めることを考えると、値上げ分は限定的とも言えます。

過度に不安にならないことも大切です

値上がりを強調して「今すぐ契約しないと!」と急がせる業者には注意が必要です。水性塗料での外壁塗装工事の上昇幅は数万円程度。焦って相見積もりをせずに契約するより、複数業者を比較した方が費用を抑えられることも多いです。

外壁塗装用塗料の価格推移をプライシーでチェック

外壁塗装業者が実際に使う主要塗料の価格をプライシーで確認できます。値上がり前後の価格推移も一目でわかります。

塗料の値上がりはいつまで続くのか

「そのうち下がるだろう」と様子を見ている方に、少し厳しい現実をお伝えします。

過去5年の値上げ歴史——一度も下がっていない

施工歴25年の塗装職人・横井隆之氏によると、過去25年間で一度値上げされた塗料が、メーカー主導で値下げに戻ったケースは一度もないとのことです。

2021年以降の値上げ推移を振り返ると:

  • 2022年:大手各社が10〜15%の値上げ(原油高・物流コスト増)
  • 2023年:さらに5〜10%の追加値上げ(円安・原材料高騰継続)
  • 2024〜2025年:据え置き期間(ただし値下げはゼロ)
  • 2026年3〜5月:シンナー50〜80%、塗料本体10〜30%の大幅値上げ

2021年以降、一度も「値下げ」は起きていません。経済学では「Rockets and Feathers(価格は上がる時はロケット、下がる時は羽)」として知られる構造で、塗料はまさにその典型です。

今後の見通し

2026年4月30日、高市首相が「ナフサの代替調達が進み、年を越えて供給を継続できる」と発言したことで、「塗料も値下がりするのでは?」という期待が一部で広がりました。

しかし現実はそう単純ではありません。

  • すでに発表・実施済みの各社の値上げが撤回される可能性は極めて低い
  • 原油価格が下落しても、流通在庫の入れ替えには通常6ヶ月以上かかる
  • NRIの分析によると、代替調達が進んでも石油製品の「目詰まり」は継続見込み

「下がるまで待つ」という戦略は、次の値上げステージに巻き込まれるリスクを高めるだけと考えた方が現実的です。

外壁塗装を検討している方が今すべきこと

値上がりの現状を踏まえて、外壁塗装を検討している方が今できることをまとめます。「急いで契約する」ことよりも、「正しく情報を集めて判断する」ことが最も重要です。

今すぐ見積もりを取るべき3つの理由

外壁の塗り替えを検討している方は、まず複数業者から相見積もりを取ることをおすすめします。その理由は3つです。

  1. 値上がり後の相場を把握するため——見積もりを取ることで、現在の市場価格がわかります。「業者の説明が妥当かどうか」を判断する材料になります。
  2. 値上げは一方通行のため——「様子を見ていたら、また値上がりしていた」というケースが繰り返されています。住宅の劣化が進んでからでは補修費も余計にかかります。
  3. 補助金・助成金の申請期限があるため——自治体によっては工事費の10〜20%相当の助成金を受けられます。申請には期間制限がある場合が多いです。

水性塗料への切り替えで費用を抑える

鉄部や木部など油性塗料が必須の箇所を除き、外壁の塗り替えには水性塗料を指定することで、シンナー急騰の影響を最小化できます。現場でも水性塗料への切り替えが急速に進んでいます。

水性塗料も値上がりはしていますが(15〜25%)、油性と比べると上昇幅は相対的に小さく、入荷状況も安定しています。見積もりを取る際に「できる限り水性塗料を使ってほしい」と業者に伝えてみましょう。

補助金・助成金の活用

自治体によっては、外壁・屋根の塗り替えに対して補助金・助成金制度があります。工事費の10〜20%(上限20〜30万円程度)を補助するケースもあり、値上がり分を実質ゼロにできる可能性もあります。

「省エネ改修」「バリアフリー改修」などを条件にした補助金も多く、断熱塗料への切り替えと組み合わせることで対象になる場合もあります。

今すぐ動くべき人
  • 築10年以上で外壁にひび割れや塗装のはがれがある
  • 以前から見積もりを取っており、価格が変わる前に確定したい
  • 居住地の補助金制度に申請期限が近い
  • 現時点で水性塗料の在庫確保を業者が確認している
もう少し情報収集すべき人
  • 外壁の劣化が軽微で、まだ3〜5年は余裕がある
  • まだ1社しか見積もりを取っていない
  • 「今契約しないと材料がなくなる」と急かされている
  • 補助金・助成金の調査がまだ

今すぐできるアクションまとめ

  • 複数の業者から相見積もりを取り、現在の相場を確認する
  • 見積書に塗料のメーカー名・製品名が記載されているか確認する
  • 水性塗料を基本とした仕様で見積もりを依頼する
  • 自治体の補助金・助成金制度をチェックする
  • 塗料の値上がりを過剰にアピールして急かす業者には注意する

見積もりを取った時期別の確認ポイント

「手元にすでに見積もりがある」という方と「これから取る」という方では、確認すべきことが変わります。自分の状況に合わせてチェックしてみてください。

見積もりを取った時期 状況 確認すべきこと
3月以前 値上げ前の価格で出ている可能性あり 契約後に「材料費が上がった」と追加費用を請求されるリスクあり。契約書のスライド条項(資材値上がり時の費用変更条件)を確認する
4月以降 値上げが反映済みのはず 「値上げ」を理由にした過剰な上乗せがないか複数業者を比較する。同じグレードの塗料で大きな価格差がある場合は要注意
これから取る 値上げ反映後の単価で算定される 「最低3社は相見積もりを取ること」が鉄則。見積書に塗料のメーカー名・製品名が記載されているか確認する

業者に確認しておきたい3つのポイント

見積もりを取る際や業者と話をするとき、以下の3点を確認すると「便乗値上げかどうか」の判断材料になります。

  1. 見積もりは実勢仕入れ価格ベースか、メーカー設計価格ベースか——実勢価格はメーカー公示値よりさらに高い場合があります
  2. 工事着工までに再値上げの可能性があるか(契約書のエスカレーション条項を確認)——契約後に追加請求されるリスクを事前に確認しましょう
  3. 認定施工店ルートで仕入れているか——転売市場経由での仕入れは価格が不安定で、信頼性にも関わります

塗料・建材の価格推移をアプリでチェック

プライシーでは外壁塗装用塗料をはじめ、身の回りの商品の価格推移を無料で確認できます。「今が高いのか安いのか」を判断するヒントに。

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よくある質問(FAQ)

塗料の値上げはいつまで続きますか?

明確な終期は予測できませんが、過去の事例を見ると、一度値上げされた塗料が下がった事例はほぼありません。2021年以降の5年間でも塗料が値下がりした事例はゼロです。ナフサ供給の回復・安定化が進んでも、流通在庫の入れ替えには数ヶ月かかるため、短期間での値下げは考えにくいです。

水性塗料と油性塗料、どちらを選べば費用を抑えられますか?

2026年5月時点では、外壁の塗り替えに水性塗料を選ぶ方が費用を抑えやすいです。シンナー(50〜80%値上げ)を必要とする油性塗料より、水性塗料(15〜25%値上げ)の方が値上がり幅が小さく、入手状況も安定しています。ただし、鉄部(雨戸・フェンスなど)や木部は油性塗料が適している場合もあるため、業者と相談して決めましょう。

今すぐ外壁塗装を発注すべきですか?それとも待つべきですか?

「今すぐ」よりも「正しい情報で判断する」ことが大切です。外壁に劣化のサインがあって塗り替え時期が近い場合は、複数業者から見積もりを取って検討を進めましょう。一方、まだ余裕がある場合は、相見積もりを十分に行い、補助金の活用も調べてから判断することをおすすめします。値上がりを口実に急かしてくる業者には注意が必要です。

業者が「塗料が値上がりした」と言っています。本当ですか?

はい、本当です。2026年3〜5月にかけて、日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研など主要メーカーの全社が価格改定を実施しています。特にシンナーは50〜80%という異例の値上げが行われており、業者の説明は事実に基づいています。ただし、値上がりを口実に過剰な上乗せをしていないかどうかは、複数業者の見積もりを比較することで確認できます。

記事の内容は執筆時点の情報を基にしています。掲載している価格・日程・仕様等は変更になる場合があります。最新情報はご自身でご確認ください。