「再振替仕訳とは何のことか分からない」「決算整理仕訳との違いがあいまいなまま処理している」という方は多いのではないでしょうか。再振替仕訳は、経理担当者や簿記を学習中の方がつまずきやすいポイントのひとつです。この記事では、国税庁の公表情報や会計ソフト各社の解説を参考に、再振替仕訳の意味・必要な理由・対象となる勘定科目・具体的な仕訳例までをプライシー編集部が整理しました。
未払費用・未収収益・前払費用・前受収益(経過勘定)や貯蔵品を計上した決算整理仕訳を、翌期首の日付で借方と貸方を入れ替えて元の勘定に戻す処理です。これにより、翌期の費用や収益が二重に計上されるのを防ぎます。
再振替仕訳とは?決算整理仕訳を貸借反対にして行う仕訳
再振替仕訳(さいふりかえしわけ)とは、決算整理仕訳を貸借反対にして行う仕訳のことです。決算整理仕訳で計上した未払費用や前払費用などの勘定科目を、翌期首の日付で借方・貸方を入れ替えて、もとの費用・収益の勘定に戻します。
言葉だけだとイメージしづらいので、流れで捉えると理解しやすくなります。決算日に「決算整理仕訳」を行い、収益や費用の繰り延べ・見越しを計上します。そして翌期が始まった初日に、その決算整理仕訳とまったく同じ金額で、借方・貸方を逆にした仕訳を切ります。これが再振替仕訳です。決算整理仕訳と再振替仕訳は、いわばペアで動く処理と考えておくと整理しやすくなります。
再振替仕訳はなぜ必要なのか
そもそもなぜ、わざわざ決算整理仕訳を戻すような処理をするのか、疑問に思う方も多いはずです。理由はシンプルで、再振替仕訳をしないと翌期に費用や収益が二重に計上されてしまう可能性があるからです。
たとえば、決算時に未払いの給与を「未払費用」として計上したとします。この処理をそのままにして翌期を迎えると、実際に給与を支払ったタイミングで、経理担当者は支払額のうち「前期分」と「当期分」を分けて仕訳しなければならず、ミスの原因になります。再振替仕訳で未払費用をいったんゼロに戻しておけば、支払い時には通常どおり全額を費用として計上するだけで、自動的に前期分と当期分が正しく按分される仕組みになっています。
再振替仕訳は、発生主義会計の正確性を保ちながら、翌期の経理業務をシンプルにするための処理と考えると分かりやすいのではないでしょうか。
再振替仕訳の対象となる決算整理仕訳(経過勘定4科目+貯蔵品)
再振替仕訳は、すべての決算整理仕訳に対して行うわけではありません。対象になるのは、主に「経過勘定」と呼ばれる4つの勘定科目と、貯蔵品への振替です。
未払費用・未収収益・前払費用・前受収益とは
経過勘定は、当期と翌期をまたぐ収益・費用のズレを調整するための勘定科目です。主な経過勘定科目は未払費用・未収収益・前払費用・前受収益の4つで、それぞれの内容を一覧で整理すると、次のようになります。
| 経過勘定科目 | 内容 | 区分 | 代表的な勘定科目の例 |
|---|---|---|---|
| 未払費用 | 当期の費用だが、支払いが翌期になるもの | 費用の見越し | 未払人件費、未払保険料、未払利息 |
| 未収収益 | 当期の収益だが、入金が翌期になるもの | 収益の見越し | 未収利息、未収家賃 |
| 前払費用 | 翌期分の費用を、当期に前払いしたもの | 費用の繰り延べ | 前払保険料、前払地代家賃 |
| 前受収益 | 翌期分の収益を、当期に前受けしたもの | 収益の繰り延べ | 前受地代家賃、前受手数料 |
この4科目は名前が似ていて混同しやすいのですが、考え方はどれも同じです。「当期に計上すべき金額はいくらか」を基準に、ズレている分を経過勘定で調整し、翌期首の再振替仕訳で元に戻す、という流れは共通しています。
貯蔵品への振替も対象になる
経過勘定の4科目以外にも、再振替仕訳が必要になるケースがあります。それが「貯蔵品」です。期中に通信費や租税公課として費用処理していた郵便切手・収入印紙などのうち、決算時点で未使用のものは、いったん貯蔵品(資産)に振り替える処理を行います。そして翌期首に、再振替仕訳でもとの費用勘定に戻します。
再振替仕訳はいつ行う?仕訳の手順4ステップ
再振替仕訳は、原則として翌会計期間の開始日(翌期首)に行います。決算日が3月31日の会社であれば、決算整理仕訳は3月31日付、再振替仕訳は翌日の4月1日付で行うのが基本です。
具体的な手順は、次の4ステップで進めます。
前期の決算整理仕訳のうち、経過勘定(未払費用・未収収益・前払費用・前受収益)や貯蔵品にあたる仕訳を洗い出します。
新しい会計期間がスタートする日付(4月1日など)で、再振替仕訳の伝票を作成します。
決算整理仕訳の借方・貸方の勘定科目をそのまま入れ替えます。金額は決算整理仕訳とまったく同じ金額を使います。
「前期3月31日付決算整理仕訳の再振替」のように記載しておくと、あとで見返したときに内容がすぐ分かります。
【勘定科目別】再振替仕訳の仕訳例
ここまでの内容を、実際の仕訳例で確認してみましょう。以下はいずれも説明用の一例で、決算日を3月31日、再振替仕訳の日付を4月1日としています。
| 経過勘定 | 決算整理仕訳(3/31) | 再振替仕訳(4/1) |
|---|---|---|
| 未払費用 (未払保険料) | 保険料 30,000 / 未払保険料 30,000 | 未払保険料 30,000 / 保険料 30,000 |
| 未収収益 (未収利息) | 未収利息 12,000 / 受取利息 12,000 | 受取利息 12,000 / 未収利息 12,000 |
| 前払費用 (前払保険料) | 前払保険料 24,000 / 保険料 24,000 | 保険料 24,000 / 前払保険料 24,000 |
| 前受収益 (前受地代家賃) | 受取地代家賃 15,000 / 前受地代家賃 15,000 | 前受地代家賃 15,000 / 受取地代家賃 15,000 |
| 貯蔵品 (未使用の切手) | 貯蔵品 5,000 / 通信費 5,000 | 通信費 5,000 / 貯蔵品 5,000 |
表を見ると分かるとおり、再振替仕訳は決算整理仕訳の借方・貸方をそのまま入れ替えるだけです。仕訳の形自体は難しくありません。大切なのは「なぜその決算整理仕訳をしたのか」を理解しておくことです。
再振替仕訳を忘れるとどうなるか
再振替仕訳を忘れてしまうと、前期分の未払費用や前払費用が帳簿に残ったまま翌期の処理が進んでしまいます。その結果、費用や収益が実態とズレて計上され、月次の損益が正しく把握できなくなる可能性があります。
決算をまたぐ処理は税務調査でも「期ずれ」として指摘されやすいポイントのひとつです。悪意のない単純な計上漏れであっても、修正申告が必要になるケースがあるため注意しておきたいところです。
なお、前払費用の中には、支払日から1年以内に提供を受けるサービス等については、支払った事業年度の損金として一括計上できる「短期前払費用の特例」もあります。この特例を継続して適用している場合は、そもそも前払費用への振替自体を行わないため、再振替仕訳も不要になります。ただし要件があるため、適用できるかどうかは顧問税理士に確認しておくと安心です。
最近は会計ソフトを使えば、決算整理仕訳と連動して再振替仕訳を自動で作成してくれる機能もあります。とはいえ、自動作成された仕訳をそのまま鵜呑みにせず、対象の勘定科目や日付が正しいかを一度は目視で確認しておくと安心です。
経理・簿記学習に役立つテキスト・電卓の価格をチェック
再振替仕訳のような経過勘定の処理は、簿記3級・2級の学習範囲でもよくつまずくポイントです。ここでは、実際の学習や実務で使われることが多い定番のテキスト・問題集・電卓を紹介します。買い時の参考に、価格の推移もあわせてチェックしてみてください。
よくある質問
決算整理仕訳で計上した未払費用や前払費用などをそのままにしておくと、翌期に費用や収益が二重に計上されてしまう可能性があるためです。再振替仕訳で元の状態に戻すことで、翌期の会計処理を正しく進められます。
原則として、翌会計期間の開始日(翌期首)に行います。決算日が3月31日であれば、再振替仕訳は翌日の4月1日付で起票するのが基本です。
いいえ、対象になるわけではありません。再振替仕訳が必要になるのは、主に未払費用・未収収益・前払費用・前受収益という4つの経過勘定と、貯蔵品への振替に関する決算整理仕訳です。
前期分の費用や収益が翌期にも残ったままになり、二重計上や損益のズレが生じる可能性があります。決算をまたぐ処理のため、税務調査で「期ずれ」として指摘されるケースもあります。
支払日から1年以内に提供を受けるサービス等の前払費用について、支払時に全額を損金算入できる「短期前払費用の特例」を継続して適用している場合は、前払費用への振替自体を行わないため、再振替仕訳も不要になります。適用できるかどうかは要件があるため、顧問税理士に確認することをおすすめします。
まとめ
- ✓再振替仕訳とは、決算整理仕訳を貸借反対にして行う仕訳のこと
- ✓目的は、翌期に費用や収益が二重に計上されるのを防ぐこと
- ✓対象は未払費用・未収収益・前払費用・前受収益の経過勘定4科目と貯蔵品
- ✓原則として翌期首(会計期間の開始日)の日付で行う
- ✓忘れると二重計上や期ずれの原因になるため注意が必要
日々の買い物にも「見える化」の力を
再振替仕訳のように、数字を正しく見える化することは家計管理にも役立ちます。プライシーアプリなら、気になる商品の価格推移をチャートでチェックできます。
プライシーアプリを見てみる