海外でJCBカードが使えないと言われる理由
JCBは日本発祥の唯一の国際ブランドで、国内では高いシェアを持っています。しかし世界の決済取引で見ると、実は少し事情が変わってきます。
2024年上半期のNilson Reportの集計(国際的な決済業界の調査レポート)をもとにした推計では、取引ベースでVisa・Mastercard・銀聯(UnionPay)の上位3ブランドが世界シェアの約97%を占め、JCBを含むその他のブランドは残り約3%程度にとどまるとされています(出典)。
| 国際ブランド | 世界シェア(取引ベース・推計) |
|---|---|
| Visa | 約38.7% |
| 銀聯(UnionPay) | 約33.2% |
| Mastercard | 約25%(推定値) |
| その他(JCB・American Express・Diners Club等) | 約3% |
※Nilson Report「Global Brand Cards Worldwide — Midyear 2024」の公開データをもとにした推計値。2026年7月時点で確認できる最新の集計です。
とはいえ、JCB自体が小さいブランドというわけではありません。JCBグローバルサイトによると、加盟店数は2025年9月末時点で世界約7,100万店、カード会員数は1億7,500万人を超えています(出典)。ただし、Visa・Mastercardと比べると海外での対応店舗数には差があるため、「使えないことがある」という声につながっているようです。
海外でJCBカードが使えない4つの原因
「使えなかった」と一言でいっても、原因はいくつかのパターンに分かれます。まずはどれに当てはまりそうか、切り分けてみましょう。
①利用先がJCBに対応していない加盟店だった
最も多いのが、お店側がJCBに対応していないケースです。JCB公式も「国や地域によってはJCBカードの支払いに対応していないケースがあります」と案内しています(出典)。特にヨーロッパの個人経営の店舗などでは、レジ周りに掲示されている国際ブランドのロゴを見ても、JCBのマークがないことが少なくありません。
②海外取引制限がかかっている
JCBカードには、セキュリティ対策や使いすぎ防止のために「海外取引制限」を設定できる機能があります(出典)。この設定が有効になっていると、海外店頭決済・海外オンラインショッピング・海外キャッシングがまとめて利用できなくなります。渡航前に自分でオンにした設定を忘れているケースもあるため、MyJCBで確認しておくと安心です。
③セキュリティロック(不正利用検知)が作動した
JCBは24時間365日、不正利用検知システムでカードの利用状況を監視しています。普段と異なる利用パターン(急な高額決済、短時間での複数国での利用など)を検知すると、被害拡大を防ぐために一時的に利用を止める仕組みです(出典)。これはトラブルというよりも、セキュリティが正常に機能している証拠ともいえます。本人確認が完了すれば、利用を再開できます。
④限度額超過・有効期限切れなどカード自体の問題
海外では開放的な気分もあって、気づかないうちに利用限度額に達してしまうことがあります。また、有効期限が切れた古いカードを財布に入れっぱなしにしていた、というケースも見られます。どちらもMyJCBで事前に確認できる項目です。
原因の切り分け方まずは別の店舗で少額決済を試してみましょう。そこでも使えなければ①〜④のいずれかが原因の可能性が高く、別ブランドのカードなら使えた場合は「加盟店がJCB非対応だった」可能性が高いと判断できます。
【地域別】JCBが使いやすい国・使いにくい地域
JCBの使いやすさには、地域による差がかなりあります。日本人旅行者が多い地域ほど対応が進んでいる傾向です。
| 地域 | 使いやすさの傾向 | 補足 |
|---|---|---|
| ハワイ・グアム | ◎ 比較的使いやすい | 日本人観光客向けサービスが充実 |
| 韓国・台湾 | ◎ 比較的使いやすい | 大型ホテル・お土産店・ブランド店中心に対応 |
| アメリカ本土・オセアニア主要都市 | ○ ホテル・免税店は対応が多い | American Expressとの提携で利用可能な場面も |
| ヨーロッパ | △ 非対応の店舗が多い | 現地発行カードはVisa・Mastercardが主流 |
JCBはAmerican Express・Diners Club・Discover・銀聯(UnionPay)と提携しており、これらのブランドの加盟店でも利用できる場合があります。この提携によって、オーストラリア・ニュージーランド・カナダなどでも利用できる場面が広がっています(出典)。
実際にヨーロッパ在住者による体験記事でも、「店頭にJCBのシールが貼られていてもほとんど使えないことがある」という声が紹介されています(出典)。JCBの優待店情報サービス「たびらば」の掲載店舗数を見ても、アメリカ・カナダの437件に対しヨーロッパは76件(2024年7月調査時点)と、地域による差が数字にも表れています(出典)。ヨーロッパへ行く方は、JCB以外のカードも必ず用意しておくのがおすすめです。
暗証番号(PIN)の入力が必須な地域に注意EU諸国・トルコ・中国・シンガポール・タイ・ベトナム・マレーシア・フィリピン・インドネシア・ニュージーランド・インド・ブラジル・香港・マカオ・メキシコ・アラブ首長国連邦・ヨルダンなど、ICカード利用が一般的な国・地域では、暗証番号が不明だと決済できない場合があります(出典)。渡航前に確認しておきましょう。
今すぐできる対処法(現地で使えなかったとき)
目の前の支払いをどうにかしたいときは、以下の順番で試してみてください。
STEP1:別のカード・決済手段を試す
1枚目が使えなかった場合は、すぐに2枚目のカードを試しましょう。国際ブランドが異なるカード(VisaやMastercard)を持っていれば、使える可能性が大きく上がります。現金や電子決済など、代替の支払い手段も念のため用意しておくと安心です。
STEP2:MyJCBアプリで利用制限・ロックの有無を確認する
会員専用の「MyJCB」アプリやWebサイトから、海外取引制限がかかっていないか、利用可能額に余裕があるかをその場で確認できます。制限がかかっていた場合は、アプリ上から解除できることもあります。
STEP3:JCBプラザ・JCBプラザコールセンターに連絡する
STEP1・STEP2で解決しない場合や、紛失・盗難、不正利用の疑いがある場合は、すぐにカードの利用停止手続きを行いましょう。MyJCBアプリ・Web・電話から24時間365日手続きが可能です。海外滞在中でも、最寄りのJCB PLAZAや海外専用の紛失・盗難受付デスクに連絡すれば対応してもらえます(出典)。
海外利用時の手数料についてJCBカードを海外で利用すると、換算日の基準レートに海外事務手数料1.6%を加えたレートで日本円に換算されます(2026年7月時点)(出典)。手数料は変更される場合があるため、利用時に公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめです。
渡航前にやっておくべき準備チェックリスト
現地で慌てないために、出発前に以下を確認しておきましょう。
- MyJCBで利用可能額・利用残高・有効期限を確認する
- 海外取引制限がかかっていないか確認し、必要なら解除しておく
- 登録している連絡先(電話番号・メールアドレス)を最新の状態にしておく
- 暗証番号(PIN)をMyJCBまたは「JCB暗証番号サービス」で確認しておく(出典)
- Visa・Mastercardなど別ブランドのカードも1枚携行しておく
JCBは海外利用にあたって特別な事前連絡や設定が必須というわけではありませんが、海外取引制限をかけている場合は解除しておく必要があります。念のため、出発の数日前には上記のチェックを済ませておくと安心です。
海外旅行傷害保険もあわせて確認をJCBカードには海外旅行傷害保険が付帯しているものが多く、カードの種類によって自動付帯・利用付帯の違いがあります。支払いだけでなく、もしものケガや病気に備える意味でも、渡航前に自分のカードの保険内容を確認しておきましょう。
JCB以外に持っていくべきカードは?
渡航先やお店によって対応ブランドが異なるため、JCBカードと合わせてもう1枚、世界シェアの高いブランドを持っていくと安心です。特にVisa・Mastercardは取引ベースの世界シェアが上位で、多くの地域で対応しています(出典)。
「ヨーロッパはMastercard」というイメージを持っている方もいますが、2024〜2025年時点の推計ではヨーロッパでもVisaが約51%とやや優勢で、Mastercard(約47%)が僅差で追う構図になっています。国や店舗によって差はあるものの、Visa・Mastercardのどちらかを組み合わせておけば大きな不安はないと考えてよさそうです。
組み合わせ方に迷ったら、「JCB+Visa」または「JCB+Mastercard」の2枚持ちを基本に考えるとよいでしょう。3枚目としてAmerican Expressを加えると、ホテルやレストランでの優待も期待できます。
よくある質問
JCB公式に「使えない国」の網羅的なリストは公開されていません。ただし、ヨーロッパなど日本人旅行者が比較的少ない地域や、個人経営の小規模店舗では対応していないことが多い傾向があります。渡航前にレジ周りのロゴマークやお店の対応ブランドを確認しておくと安心です。
MyJCBアプリ・Web、またはJCBプラザコールセンターから本人確認の手続きを行うと、その場でロックを解除してもらえることがあります。連絡先を渡航前に控えておくとスムーズです。
世界シェアの高いVisaかMastercardのどちらかを組み合わせるのが一般的です。ヨーロッパ中心の旅行ならVisa、それ以外でも基本的にどちらか1枚あれば大きな不安はありません。
MyJCBアプリまたはWebサイトの「カードご利用金額・利用先の管理」から確認・解除できます。渡航前に制限がかかっていないか一度チェックしておきましょう。
まとめ
- JCBは海外で「まったく使えない」わけではないが、Visa・Mastercardと比べると対応店舗数に差がある
- 使えない原因は「加盟店非対応」「海外取引制限」「セキュリティロック」「限度額・有効期限」の4つに大きく分かれる
- ハワイ・グアム・韓国・台湾は比較的使いやすく、ヨーロッパは非対応の店舗が多い傾向
- 渡航前にMyJCBで確認・準備をし、Visa・Mastercardをもう1枚携行しておくと安心
