Outlookの動作が重い、開くたびにフリーズする…そんな不調の原因の一つが「キャッシュの肥大化」です。この記事では、Windows・Mac・iPhone/Androidそれぞれでの安全なキャッシュ削除手順と、削除しても直らない場合の見分け方まで、実際に一次情報を確認した上で解説します。
Outlookのキャッシュとは?削除が必要なサインを見分ける
Outlookは、メールや予定表をすばやく表示したり、オフラインでも閲覧できるようにするために、データの一部をパソコンやスマホの中に一時保存しています。これがキャッシュです。使い続けるほど溜まっていく仕組みなので、放置していると容量を圧迫したり、動作が重くなる原因になることがあります。
Outlookのキャッシュは、大きく分けると次の3種類です。
| 種類 | 主な役割 | 保存場所(Windows) |
|---|---|---|
| ローミングキャッシュ (RoamCache) | 予定表・連絡先などの表示用の一時データ | %localappdata%\Microsoft\Outlook\RoamCache |
| 添付ファイルキャッシュ | メールで開いた添付ファイルの一時コピー | %userprofile%\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCache\Content.Outlook |
| オフラインキャッシュ (OSTファイル) | メールボックス全体のローカルコピー | %localappdata%\Microsoft\Outlook |
各フォルダパスは複数のIT系情報サイトで共通して案内されている内容を突き合わせて掲載しています(出典1/出典2)。
こんな症状が出ている場合は、キャッシュの肥大化が影響している可能性があります。
- Outlookの起動や画面切り替えに時間がかかる
- 動作中に固まる・フリーズすることが増えた
- 新着メールの反映が遅い、検索結果が古い
- 添付ファイルを開くたびに動作が重くなる
ただし、キャッシュ削除はOutlookの不調に対する数ある対処法の一つであって、万能の解決策ではありません。実際、Microsoft公式のOutlookフリーズに関するトラブルシューティングガイド(出典)でも、更新プログラムの未適用やアドインの干渉、メールボックスの肥大化など12の手順が案内されていますが、その中に「キャッシュの削除」という項目自体はありません。まずはキャッシュが原因かどうかを見極めてから作業するのがおすすめです。原因の切り分け方は後半の「キャッシュを削除してもフリーズ・動作の重さが直らない場合」で詳しく解説します。
キャッシュの仕組みそのものをもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
キャッシュを削除する前に確認すべきこと
「大事なメールが消えたらどうしよう」と不安になる方も多いと思いますが、まずは安心材料からお伝えします。OSTファイルはサーバー上のデータをコピーしているだけの、いわば"控え"のようなファイルです。削除しても、次にOutlookを起動して送受信すると自動的に新しいファイルが再作成されます。
OSTファイルを削除すると、次回Outlook起動時にサーバーから最新のデータが自動的に再ダウンロードされます(出典)。データ量によっては再同期に数分かかることがありますが、メールそのものが失われるわけではありません。
ただし、例外もあります。IMAPアカウントを使っている場合、連絡先・予定表・タスクが「このコンピューターのみ」に保存されていることがあり、その状態でOSTファイルを削除すると、これらのデータが完全に失われる可能性があります(出典)。念のため削除前にバックアップを取っておくと安心です。
連絡先・予定表・タスクが「このコンピューターのみ」に保存されている場合、OSTファイルの削除で復元できなくなることがあります(心当たりがない方も、削除前に一度確認しておくと安全です)。
また、OSTファイルとよく似たものに「PSTファイル」(個人用フォルダーやアーカイブ)がありますが、こちらはサーバーに依存しないローカル固有の保管庫であり、キャッシュではありません。PSTファイルは間違えて削除しないよう注意してください。心配な方は、削除作業に入る前に重要なメールや添付ファイルを外部ストレージにバックアップしておくと、より安心して作業できます。
バックアップ用のおすすめ外付けSSD・USBメモリ
OSTファイルの再同期には時間がかかることもあるため、心配な方は作業前に手元のデータをバックアップしておくのがおすすめです。ここでは、バックアップ用として人気の外付けSSD・USBメモリの価格推移をまとめて見せます。
【Windows】Outlookのキャッシュを削除する手順
ここからは実際の削除手順です。全体の流れは次の通りです。
- Outlookを完全に終了する
- 各キャッシュフォルダを開いて中身を削除する
- Outlookを再起動して動作を確認する
それでは、3種類のキャッシュをそれぞれ削除する手順を見ていきましょう。
従来のOutlookウィンドウの右上隅に「新しい Outlook を試す」というトグルスイッチがあれば、現在お使いなのは従来版です(出典)。以下のフォルダパスを使った手順は、この従来版が対象です。新しいOutlookをお使いの場合は、この章の最後にある「新しいOutlook・Microsoft 365版での違い」を参照してください。
ローミングキャッシュ(RoamCache)を削除する手順
Outlookを完全に終了します。タスクトレイにアイコンが残っていないかも確認しましょう。
Win + Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開き、%localappdata%\Microsoft\Outlook\RoamCacheと入力してEnterキーを押します。
開いたフォルダ内のファイルをすべて選択し(Ctrl+A)、削除します。
Outlookを再起動して、動作が改善しているか確認します。
添付ファイルキャッシュを削除する手順
Outlookを完全に終了します。
Win + Rで実行ダイアログを開き、%userprofile%\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCache\Content.Outlookと入力してEnterキーを押します。
フォルダ内のファイルをすべて選択して削除します。
OSTファイル(オフラインキャッシュ)を削除する手順
OSTファイルの削除は他の2つより影響範囲が大きいため、前章の「削除前に確認すべきこと」を読んでからの実施をおすすめします。
Outlookを完全に終了します。
%localappdata%\Microsoft\Outlookフォルダを開きます。
拡張子が「.ost」のファイルを削除します。拡張子が表示されていない場合は、エクスプローラー上部の「表示」タブから「ファイル名拡張子」にチェックを入れてください。
Outlookを再起動します。メールボックスが再同期されるまで、データ量によっては数分ほどかかる場合があります。
Outlook 2013以降では、.ostファイルの場所を通常のUI操作で変更することはできなくなっています。変更したい場合は新しいプロファイルを作成するか、レジストリの「ForceOSTPath」キーを設定する必要があります(出典)。
再起動だけでなく、一度完全にシャットダウンしてから起動し直すと、削除前のキャッシュを参照する残留プロセスが確実にクリアされ、新しいキャッシュがまっさらな状態から作られます(出典)。必須ではありませんが、動作の改善を確実に確認したい場合はひと手間かけてみてください。起動後はメールの送受信や予定表の表示が問題なく行えるか確認しましょう。
コマンドプロンプトでまとめて削除する方法
フォルダを1つずつ開くのが面倒な方は、コマンドプロンプトを使えば一括で削除できます。実行前にOutlookを完全に終了しておいてください。
/fは読み取り専用ファイルの強制削除、/qは確認メッセージの非表示、/sはサブフォルダ内も対象にするオプションです。
新しいOutlook・Microsoft 365版での違い
「新しいOutlook for Windows」は仕組みが刷新されており、従来の%localappdata%\Microsoft\Outlookのようなフォルダパスは使えません。Microsoft Q&Aではスタッフから「公式なキャッシュ削除の手順はまだ用意されていない」と回答されています(出典)。
コミュニティで報告されている方法として、開発者ツールを使ってキャッシュをクリアする手順があります。
新しいOutlookを閉じます。
Win + Rで実行ダイアログを開き、olk.exe --devtoolsと入力してEnterキーを押します。
開発者ツールの「Application」タブを開き、Local Storageの「outlook.office」の項目を右クリックして「Clear」を選択します。
同じくCookiesの「outlook.office」の項目も右クリックして「Clear」を選択します。
これは公式手順ではなく、コミュニティで報告されている方法です。ログイン情報を含む一時データも削除されるため、実行後は再サインインが必要になります。操作に不安がある方は、次の「アカウントを削除して再追加する」方法のほうが簡単で安全です。
【Mac・iPhone/Android】Outlookのキャッシュを削除する手順
Mac版・スマホ版のOutlookは、Windows版のようにフォルダを直接操作するのではなく、アプリ内の「アカウントのリセット」機能を使うのが公式の方法です。
MacでOutlookのキャッシュを削除する手順
パソコンがインターネットに接続されていることを確認します。
Outlookのメニューバーから「ツール」→「Accounts」を選択します。
対象のアカウントを一覧から選び、画面下部の「管理」から「アカウントのリセット」を選択します。
この操作では、サーバーとまだ同期されていない情報が削除され、その後Outlookによって再同期されます(出典)。
iPhone/AndroidでOutlookアプリのキャッシュを削除する手順
まずはOutlookアプリを完全に終了し、再度開いてみてください。これだけで改善することもあります。
改善しない場合は、アプリの「設定(Settings)」を開きます。
対象のメールアカウントを選択し、「アカウントのリセット(Reset Account)」を実行します。
この手順はiOS版・Android版どちらのOutlookアプリでも共通です(出典)。
キャッシュを削除してもフリーズ・動作の重さが直らない場合
ここまでの手順を試しても改善しない場合、原因はキャッシュ以外にあるかもしれません。まずは下のチェックリストで、キャッシュが原因である可能性が高いかどうかを確認してみましょう。
| 症状 | キャッシュが原因の可能性 |
|---|---|
| 使い続けるうちに徐々に重くなってきた | 高い |
| 添付ファイルの多いメールを開くと固まる | 高い |
| 起動直後からまったく反応せず、フリーズしたまま戻らない | 低い(プロファイルの問題等が考えられます) |
| 特定のアドインを入れてから調子が悪い | 低い(アドインが原因の可能性) |
| Outlook以外のアプリも重い・パソコン全体が遅い | 低い(パソコン全体の問題の可能性) |
「低い」に当てはまった場合は、Microsoft公式のトラブルシューティングガイドで、キャッシュ以外の原因として次のようなものが挙げられています(出典)。
- Windows Updateや Officeの更新プログラムが最新でない
- 以前インストールしたアドインがOutlookと干渉している
- メールボックスのデータ量が大きくなりすぎている
- Officeのインストール自体に問題があり、修復が必要
- ウイルス対策ソフトがOutlookと競合している
- Windowsのユーザープロファイルが破損している
いずれも本記事で解説したキャッシュ削除とは別の対処が必要になります。キャッシュ削除で改善しない場合は、無理に何度も繰り返すのではなく、上記の原因を一つずつ確認していくのが結果的に近道です。Outlook以外もあわせてパソコン全体の動作が重いと感じる場合は、こちらもチェックしてみてください。
Outlookキャッシュ削除に関するよくある質問
明確な決まりはありません。動作が重いと感じたタイミングで削除するのが基本ですが、目安として半年に一度程度、定期的なメンテナンスとして削除する方法もおすすめです。
Outlookが完全に終了していない可能性があります。タスクマネージャーを開き「Outlook」のプロセスが残っていないか確認し、終了してから再度削除を試してください。それでも削除できない場合は、パソコンを再起動してから試すと解消することがあります。
別の機能です。Exchangeキャッシュモードは、メールをローカルに保存するかどうかや保存期間(既定12ヶ月、3日〜3年の範囲で調整可能。出典)を決める設定そのものです。一方、本記事で解説しているキャッシュ削除は、すでにパソコンに溜まったキャッシュファイルを消す操作を指します。
基本的には消えません。OSTファイルはサーバー上のデータのコピーなので、削除しても次回の同期時に自動的に再ダウンロードされます。ただしIMAPアカウントで連絡先や予定表を「このコンピューターのみ」に保存している場合は例外的に失われる可能性があるため、事前の確認とバックアップをおすすめします。
従来のOutlookのようなフォルダパスは使えませんが、開発者ツールを使ってキャッシュをクリアする方法があります。手順に不安がある場合は、アカウントを削除して再追加する方法のほうが簡単で安全です。
この記事のまとめ
- ✓Outlookのキャッシュは主に3種類(ローミングキャッシュ/添付ファイルキャッシュ/OSTファイル)
- ✓OSTファイルは削除しても基本的に安全(次回起動時に自動で再作成される)
- ✓IMAPアカウントの方は連絡先・予定表のバックアップを忘れずに
- ✓キャッシュ削除で直らない場合は、アドインやプロファイルなど別の原因を疑ってみましょう
