「値上げしなければお店が続けられない。でも、どうお客様に伝えれば……」そんな悩みを抱えている飲食店オーナーや店長の方は多いのではないでしょうか。帝国データバンクの調査では、2026年の食品値上げ要因として原材料高が99.9%、人件費が66.0%(過去最高)にのぼっており、値上げは多くの飲食店にとって避けられない状況です。このページでは、そのまま使えるテンプレート(張り紙・メール・LINE・SNS別)を用意しました。コピーして店名・日付を入れるだけで使える形にしていますので、ぜひご活用ください。
告知チャネル(張り紙・メール・LINEなど)を問わず、以下の4要素を入れることで、お客様に誠実な印象を与えられます。
- 1 お客様への感謝 — 日頃のご愛顧に対する感謝のひと言がクッションになります
- 2 値上げの理由 — 原材料費・光熱費・人件費などの高騰を具体的に示しましょう
- 3 改定の具体的内容 — 実施日・対象メニュー・旧価格→新価格を明記します
- 4 今後の意気込み — 品質やサービスを守り続ける姿勢を伝えて締めくくります
すぐ使える!飲食店の値上げお知らせ例文テンプレート
チャネル別に5種類のテンプレートを用意しました。○○ の部分をお店の情報に差し替えてご利用ください。
【張り紙・店内ポスター】全品値上げ用
入口・レジ前・テーブルに貼る張り紙向けのテンプレートです。シンプルかつ見やすい縦組み構成になっています。
「〇〜〇円程度」の部分は「50〜100円程度」など具体的な金額を入れると、お客様が心づもりしやすくなります。実施日より2週間〜1ヶ月前には掲示しておきましょう。
【張り紙・店内ポスター】一部メニュー値上げ用
特定のメニューだけ値上げする場合は、対象品目と金額を明確にリストアップするのが大切です。
一部メニューだけの値上げは、全品値上げよりもお客様の心理的ダメージが小さい傾向があります。頻繁に注文されるメニューと、そうでないメニューで優先順位をつけて段階的に改定する方法も有効です。
【メール・メルマガ】顧客向けお知らせ文
会員登録済みのリピーター・常連客への先行通知に活用できます。メールはLINEより文字数を多く書けるので、理由をしっかり説明できるのが強みです。
【LINE公式アカウント】配信用メッセージ
LINE公式アカウントは既存のお客様に直接届けられる最強チャネルです。ただし、長文はブロックされやすくなるため、読みやすさと簡潔さのバランスを意識してください。
一斉配信の頻度が高い・本文が長い・宣伝色が強いとブロック率が上がります。値上げの告知は単体メッセージで送り、期間限定クーポンを同時配信するとブロック抑制につながります。
【SNS(Instagram/X)】投稿用テキスト
SNSは見込み客・新規客への周知と、「誠実なお店」という印象形成に役立ちます。スクリーンショットで拡散されることも想定し、丁寧で読みやすい文体を心がけましょう。
値上げお知らせの方法|チャネル別の選び方
告知チャネルは1つだけでなく、複数を組み合わせるのがベストです。それぞれの特徴を理解して使い分けましょう。
| チャネル | 向いているお客様 | ポイント |
|---|---|---|
| 張り紙・POP | 来店中のすべてのお客様 | 入口・レジ前・テーブルの3ヶ所が基本。文字サイズはA4で最低16pt以上 |
| HP・Googleビジネスプロフィール | 検索経由の新規・予約前客 | Googleビジネスプロフィールの「最新情報」投稿が最もリーチしやすい |
| LINE公式アカウント | 友だち登録済みの常連客 | 直接届くが長文・高頻度はブロック率上昇。簡潔にまとめる |
| メルマガ | 会員登録済みのリピーター | 配信リストが必要。理由を詳しく説明でき信頼感が高い |
| SNS(Instagram/X) | フォロワー・新規見込み客 | 拡散・共感獲得が期待できる。スクリーンショット拡散も意識した文体で |
張り紙・POP(来店客に確実に届ける)
来店しているすべてのお客様に確実に届けられるのが張り紙・POPの最大の強みです。掲示場所は①入口ドア付近、②レジカウンター前、③テーブル卓上の3ヶ所を押さえておけば、見落としはほぼなくなります。また、告知期間中は「お知らせあり」のランプ的な存在になるため、「来店客が駆け込みで購入する」というメリットもあります。
Googleビジネスプロフィール・HP(新規・検索客向け)
お店を検索して初めて来る方や、予約前に価格を確認する方には、Googleビジネスプロフィールへの投稿が有効です。「最新情報」機能を使うと検索結果に表示されやすくなります。HPをお持ちの場合はトップページまたはメニューページに告知バナーを置いておきましょう。リピーターはHPをあまり見ないことが多いため、HPだけに頼るのは禁物です。
LINE公式・メルマガ(常連客への先行通知)
常連のお客様への告知は、一般公開より1週間ほど早めに行うと「大事にされている」という印象を持ってもらえます。LINEはブロック率に注意しながら、丁寧な文章で1回だけ配信するのがポイントです。メルマガは文字数制限がないため、値上げの背景を詳しく説明したい場合に向いています。
SNS(ファン層への周知と共感獲得)
InstagramやXへの投稿は、フォロワーへの周知だけでなく、「誠実に説明するお店」という印象を新規見込み客にも与えられます。スクリーンショットで拡散されることも多いので、言葉遣いや誠実さには特に気を配りましょう。投稿後のコメントやリプライには丁寧に返信することで、さらに好印象を与えられます。
値上げお知らせのベストタイミング
どんなに丁寧な告知文でも、タイミングを誤ると「いきなり値上げされた」という印象を与えてしまいます。実施日の2週間〜1ヶ月前が多くの専門家が推奨する目安です。
個人店・小規模飲食店:実施日の2週間〜1ヶ月前から告知開始
チェーン店・大型店舗:3ヶ月前からの告知が推奨
(出典:KitchenBASE「飲食店の値上げ告知方法」)
タイミングについて、よくある疑問をまとめると次のようになります。
- なぜ1ヶ月前? — お客様が「値上げ前に多めに来ておこう」という行動をとる時間が確保でき、売上の一時的な底上げにもつながります
- なぜ早すぎてもよくない? — あまりに早すぎると告知が忘れられてしまいます。実施日の直前にもう一度リマインドを出すと効果的です
- 新メニュー導入・リニューアルのタイミングに合わせる — 「新メニューの追加と価格改定を同時に告知」することで、「値上げ」ではなく「リニューアル」という文脈になり、お客様が前向きに受け取りやすくなります。「新メニューへの期待感」が値上げの印象を中和してくれるためです
- 業界全体の値上げ波に乗る — 食品・外食の値上げがニュースになっている時期は、消費者の理解が得やすいタイミングです。2025年は累計2万609品目が値上げされるなど、社会全体の値上げムードが高まっています
客離れを防ぐ!告知文のNG例とOK例
値上げに理解を示してくれる消費者はぐるなび会員向け調査で7割以上とされています。ただし、告知の方法を誤ると、理解してくれるはずのお客様まで失ってしまいます。よくある失敗パターンをNG/OKで比較してみましょう。
NG: 理由をぼかす / OK: 具体的な理由を明示する
「諸般の事情により、価格を改定させていただきます。」
「原材料費・光熱費・人件費の高騰により、価格を改定させていただきます。」
「諸般の事情」という表現は、お客様から見ると「理由を隠している」「不誠実」と受け取られかねません。具体的な理由を書くほど、お客様は「仕方ない」と納得しやすくなります。
NG: 突然の価格変更・事前告知なし / OK: 十分な予告期間を設ける
メニュー表の価格が知らないうちに変わっていた。
(事前告知なし)
実施日の1ヶ月前から張り紙・LINE・SNSで段階的に告知を行う。
突然の価格変更はSNSで批判を受けやすく、一度「騙された」という感情が生まれると、常連客も離れてしまいます。予告期間はコストゼロでできる最も重要な客離れ対策です。
NG: ステルス値上げ / OK: 誠実な価格改定
料理の量を減らして価格はそのまま(量の変更を告知しない)。
価格を正直に上げる。または内容変更がある場合は正直に告知する。
「ステルス値上げ」(量を減らして価格を据え置くなど)は、バレた際のダメージが正直な値上げより大きくなります。誠実に正面から伝えることが、長期的なお客様との信頼関係を守る唯一の方法です。
「なぜ今、値上げが続いているのか」の背景を理解しておくと、お客様への説明や告知文作成に役立ちます。
よくある質問(FAQ)
-
値上げのお知らせはいつから始めるべきですか? +
実施日の2週間〜1ヶ月前が目安です。チェーン店や大型店舗では3ヶ月前からの告知も推奨されています。「いきなり値上げされた」という印象を与えないよう、十分な予告期間を確保してください。告知開始後は、実施日の直前にもう一度リマインドを出すと効果的です。
-
全品値上げと一部値上げ、どちらを先にすべきですか? +
どちらも同じ告知タイミングで問題ありません。ただし、一部値上げの場合は対象メニューと旧価格・新価格を必ず明記しましょう。全品値上げよりも一部値上げの方がお客様の心理的ダメージは小さい傾向があります。費用対効果を考え、影響が大きいメニューから段階的に対応する方法もあります。
-
値上げ幅は何%まで許容されますか? +
日本政策金融公庫の消費者動向調査(令和4年1月)では、全品目10%までの値上げを6割超の消費者が許容するとされています。金額に換算すると、たとえば1,000円のメニューなら100円以内の値上げが一つの目安です。ただし20代では「許容できない」という回答が4割を超えるため、客層によって判断が変わります。大幅な値上げが必要な場合は、一度に上げず2〜3回に分けて段階的に実施するか、メニューリニューアルと同時に行うことで客離れを最小限に抑えられます。また、値上げ理由を丁寧に説明することで許容度が高まるとされていますので、告知文の質も重要です。
-
値上げ後にクレームが来たらどう対応すればよいですか? +
まずお客様の気持ちに共感し、値上げの理由(原材料費・人件費・光熱費の高騰)を丁寧に説明しましょう。「品質を守るための決断だった」という誠実な姿勢を伝えることが大切です。クレームへの真摯な対応は、長期的な信頼構築につながります。事前の告知が十分だったかを振り返り、次回の告知改善につなげることも重要です。
まとめ:値上げ告知は「誠実さ」が最大の対策
この記事のポイント
- ✓ 告知文には感謝・理由・内容・意気込みの4要素を必ず入れる
- ✓ テンプレートは張り紙・メール・LINE・SNSの4チャネルを用意。店名と日付を差し替えればすぐ使える
- ✓ 告知開始は実施日の2週間〜1ヶ月前が目安。チェーン店は3ヶ月前から
- ✓ 「理由をぼかす」「事前告知なし」「ステルス値上げ」はNG。正直に、誠実に伝えることが客離れを防ぐ唯一の方法
- ✓ 消費者の7割以上は値上げに理解を示す(ぐるなび調査)。丁寧な告知があれば、多くのお客様はわかってくれます
値上げは誰にとっても後ろめたいものですが、誠実に向き合うことで常連のお客様との絆はむしろ強まることもあります。このページのテンプレートをぜひ活用して、お客様との信頼関係を守りながら乗り越えてください。
プライシーでは、食品・日用品などの価格推移をグラフで確認できます。仕入れ商品の価格変動を把握したいときや、値上げのタイミングを見極めたいときにお役立てください。
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