浜松市内をはじめ静岡県西部を走る遠鉄バス(遠州鉄道)は、2025年11月1日に路線バスの運賃改定を実施しました。2023年7月以来約2年4ヶ月ぶりの値上げで、初乗りが150円から180円へ30円アップしています。定期券や企画乗車券も同日から新料金になっています。この記事では、新旧運賃の比較・定期代の変化・値上げの理由・お得に乗る方法まで、公式発表の情報をもとにわかりやすくまとめています。
平均値上率は10.7%(遠州鉄道試算)。対象は路線バス全路線(空港バス・高速バスを除く)です。キロ程が短いほど値上げ率が高く、近距離の方が影響を受けやすい改定内容です。
遠鉄バス値上げの概要(2025年11月1日実施)
遠州鉄道は2025年10月3日付で国土交通省中部運輸局より認可を受け、同年11月1日から路線バスの運賃改定を実施しました。改定幅は区間によって30〜50円のアップとなっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 値上げ実施日 | 2025年11月1日(土) |
| 初乗り運賃 | 150円 → 180円(+30円 / +20.0%) |
| 値上げ幅 | 30〜50円アップ |
| 平均値上率 | 10.7%(遠州鉄道試算) |
| 対象路線 | 路線バス全路線(空港バス・高速バスを除く) |
| 現金・ナイスパス | 同日より新運賃を適用 |
空港バス・高速バス(e-wing、e-LineR)は対象外です。今回の改定は路線バス(一般乗合バス)のみが対象で、空港バスや高速バスは別途異なる運賃体系となっています。
普通運賃の新旧比較(キロ程別)
キロ程が短い区間ほど値上げ率が大きく、近距離の利用者ほど比率として影響が出やすい構造です。遠距離(18.9km以上)の最大運賃は750円から800円(上限)となっています。
| キロ程 | 改定前 | 改定後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 0.1〜1.6km(初乗り) | 150円 | 180円 | +30円 |
| 1.7〜4.2km | 160〜270円 | 190〜300円 | +30円 |
| 4.3〜18.8km | 270〜740円 | 310〜780円 | +40円 |
| 18.9km〜(上限) | 740〜750円 | 790〜800円 | +50円 |
一部区間では上記の表に当てはまらない場合があります。正確な運賃は遠鉄バス公式の運賃案内ページでご確認ください。
定期券(通勤・通学)の新旧比較
定期券も2025年11月1日購入分から新運賃が適用されています。なお、10月31日以前に購入した定期券は有効期限まで旧運賃でそのまま使えます。
通勤定期券(浜松駅から主要区間)
浜松駅を起点とした主要区間の通勤定期券(1ヶ月)の新旧比較です。近距離の市役所前では1ヶ月あたり1,240円のアップ(+20.0%)と、値上げ幅が最も大きくなっています。
| 停留所(浜松駅から) | 片道 改定前 | 片道 改定後 | 1ヶ月 改定前 | 1ヶ月 改定後 | アップ率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 市役所前 | 150円 | 180円 | 6,210円 | 7,450円 | +20.0% |
| せいれい病院 | 260円 | 290円 | 10,760円 | 12,010円 | +11.6% |
| イオンモール浜松市野 | 350円 | 390円 | 14,490円 | 16,150円 | +11.5% |
| イオンモール浜松志都呂 | 430円 | 470円 | 17,800円 | 19,460円 | +9.3% |
| 医科大学 | 510円 | 550円 | 21,110円 | 22,770円 | +7.9% |
| 聖隷三方原病院 | 580円 | 620円 | 24,010円 | 25,670円 | +6.9% |
| ワイドフリー | — | 28,340円 | 29,990円 | +5.8% | |
| シルバーワイド | — | 6,500円 | 6,800円 | +4.6% | |
通学定期券(割引率も変更あり)
通学定期券は今回の改定で割引率が40%から44%に引き上げられました。そのため、片道運賃の値上げ率に比べて定期代の値上げ幅が抑えられています。たとえば浜工高前では片道が8.6%アップでも1ヶ月定期は1.4%のアップにとどまっています。
| 停留所(浜松駅から) | 片道 改定前 | 片道 改定後 | 1ヶ月定期 改定前 | 1ヶ月定期 改定後 | 定期 アップ率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 西遠学園 | 190円 | 220円 | 6,840円 | 7,390円 | +8.0% |
| 浜松北高 | 200円 | 230円 | 7,200円 | 7,730円 | +7.4% |
| 浜商前 | 230円 | 260円 | 8,280円 | 8,740円 | +5.6% |
| 城北工高 | 310円 | 350円 | 11,160円 | 11,760円 | +5.3% |
| 浜工高前 | 460円 | 500円 | 16,560円 | 16,800円 | +1.4% |
| ワイドフリー(通学) | — | 22,860円 | 23,040円 | +0.7% | |
※ 通学平日定期券は、表中の1ヶ月定期代(通学全日)の5/7の金額です。
通学定期券は割引率が手厚くなりました。遠距離になるほど定期代の実質的な値上げ幅が小さくなります。長距離通学の学生にとっては、片道運賃の値上げ率に比べて定期代の負担増が少ない改定内容です。
企画乗車券の改定内容
観光やレジャーに使われる「まるっとパス」などの企画乗車券も2025年11月1日から値上げされています。浜松・浜名湖エリアを観光する際に便利な1日券・6時間券も対象です。
| 券名 | 改定前 | 改定後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 浜松・浜名湖まるっとパス(2日券) | 3,600円 | 4,000円 | +400円 |
| 浜松・浜名湖まるっとパス(1日券) | 2,800円 | 3,200円 | +400円 |
| 浜松・浜名湖まるっとパス(6時間券) | 2,300円 | 2,600円 | +300円 |
| 浜松まるっとパス(2日券) | 2,800円 | 3,200円 | +400円 |
| 浜松まるっとパス(1日券) | 1,800円 | 2,000円 | +200円 |
| 浜松まるっとパス(6時間券) | 1,200円 | 1,400円 | +200円 |
| 土日祝1日フリーチケット | 1,000円 | 1,200円 | +200円 |
| 遠鉄ぶらりきっぷ | 1,570円 | 1,740円 | +170円 |
値上げの理由
遠州鉄道が2025年6月の認可申請書で明示した理由は、主に3点です。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ①乗務員(運転士)不足の解消 | 慢性的な乗務員不足が続いており、給与・処遇改善による採用強化が急務 |
| ②物価高・人件費の上昇 | 人件費は2023年度の24.6億円から2026年度見込28.8億円へ約17%増加見込み |
| ③車両更新費の増加 | 減価償却費が2023年度の1.4億円から2026年度見込2.6億円へ約86%増の見込み |
収支面では、改定しない場合の2026年度推計赤字は約4.9億円(△493百万円)に達する見通しでした。改定後でも約0.4億円の赤字(△44百万円)の見通しで、値上げしてもまだ赤字が続く厳しい状況です。路線バスを維持するうえで、運賃改定が不可欠な判断だったことがわかります。
背景: 全国的なバス値上げの流れ。遠鉄バスだけでなく、全国各地の路線バス会社が同様の理由で相次いで値上げを実施しています。運転士不足と物価高は業界全体の共通課題です。
値上げ後の節約方法
値上げ後も、使い方によって少し負担を軽くできる方法があります。ポイントとなるのはナイスパスのオートチャージ活用です。
ナイスパスのオートチャージポイントが倍増(継続中)
遠鉄独自のICカード「ナイスパス」のオートチャージ(自動入金)サービスを利用すると、1,000円チャージごとに20えんてつポイント(2%分)が貯まります。2025年11月1日以降のチャージ分から従来の1%(10ポイント)から2倍に増えており、毎日のバス通勤で着実にポイントが貯まります。
| 項目 | 改定前 | 改定後(現在) |
|---|---|---|
| オートチャージポイント還元率 | 1,000円ごと10pt(1%) | 1,000円ごと20pt(2%) |
| 開始日 | — | 2025年11月1日以降のチャージ分から |
タッチ決済10円引きキャンペーン(2026年3月末に終了)
値上げと同時に開始されたタッチ決済割引キャンペーン(クレカ・デビット・プリペイド・スマホのタッチ決済で1乗車10円引き)は、2026年3月31日をもって終了しています(実施期間:2025年11月1日〜2026年3月31日)。現時点では後継のキャンペーンについての公式発表はありません。最新情報は遠鉄バス公式サイトでご確認ください。
タッチ決済割引は終了しています(2026年5月時点)。新たな割引施策が始まった場合は遠鉄バスの公式サイトでアナウンスされます。
過去の値上げ履歴
2023年以降、遠鉄バスは2回の路線バス運賃改定を実施しています。いずれも初乗りが30円ずつ値上がりし、2021年頃の水準(120円)から現在は180円となりました。
2回の改定でいずれも乗務員不足の解消と収支改善が主な申請理由となっており、公共交通を維持するうえでの厳しい経営環境が背景にあります。
まとめ
遠鉄バス値上げ まとめ
- 値上げは2025年11月1日から実施済み
- 初乗り運賃は150円→180円(+30円 / 平均10.7%アップ)
- 通勤定期券は区間により5〜20%値上がり。近距離ほど値上げ率が高い
- 通学定期券は割引率が40%→44%に引き上げられ、値上げ幅が抑えられている
- 企画乗車券も同日から170〜400円値上がり
- ナイスパスのオートチャージポイントが2%(倍増)になっているのでフル活用を
- タッチ決済10円引きキャンペーンは2026年3月末に終了済み
日々の交通費を少しでも賢く管理したい方には、プライシーアプリもお役立てください。物価上昇が続く中、日用品や家電の価格チェックにも活用できます。
よくある質問(FAQ)
2025年11月1日(土)から実施しています。国土交通省中部運輸局の認可を受け、同日より新運賃が適用されました。
初乗り運賃は150円から180円になりました(+30円、+20.0%)。
2025年11月1日以降に購入する定期券から新運賃が適用されます。10月31日以前に購入した定期券は有効期限まで旧運賃でそのままご利用いただけます。また、新規・継続を問わず、開始日の1ヶ月前から定期券を購入できます。
ナイスパスのオートチャージ機能を使うと、1,000円チャージごとに20えんてつポイント(2%分)が貯まります(2025年11月1日以降のチャージ分から倍増)。なお、タッチ決済10円引きキャンペーンは2026年3月末に終了しています。
遠鉄電車は今回の改定(2025年11月)とは別に、2024年4月1日に運賃改定を実施しています。今回の路線バス値上げは電車の改定とは独立したものです。
