東京ガスが2026年4月27日に発表した料金改定により、2026年10月1日(11月検針分)から家庭向けガス料金の基本料金が値上げされます。値上げは1980年以来46年ぶりという歴史的な改定です。この記事では、値上げの内容・理由・時期を詳しく解説するとともに、原料費調整額との関係や、値上げへの対策についても分かりやすくまとめました。

結論
東京ガス、2026年10月から基本料金を月150円値上げ

適用開始は2026年10月1日(2026年11月検針分)から。標準家庭(30m³/月)の月額は5,734円→5,884円と約150円(2.6%)の増加になります。利用者側の手続きは不要で、自動的に新料金が適用されます。なお、基準平均原料価格の変更により原料費調整額が下がる効果もあり、当面の実質的な影響は報道されている「+150円」より小さい可能性があります。

東京ガスの値上げはいつから?2026年の改定概要

東京ガスは2026年4月27日、家庭向けガス料金の値上げを正式に発表しました。適用は2026年10月1日(2026年11月検針分から)で、東京都・神奈川・千葉・埼玉・栃木・茨城の「東京地区」と群馬の「群馬地区」が対象です。

手続きは不要です。今回の値上げは料金表の改定であり、利用者側の手続きは一切必要ありません。2026年11月の検針分から自動的に新料金が適用されます。

対象プラン一覧

値上げの対象となる料金プランは以下のとおりです。使用しているプランが一般料金・選択約款のいずれかであれば、ほぼすべての家庭が対象になります。

カテゴリ 対象プラン
一般料金(規制料金) 一般料金
家庭用選択約款 ずっともガス契約
家庭用高効率給湯器契約《湯ったりエコぷらん》
家庭用ガス温水床暖房契約《暖らんぷらん》
家庭用コージェネレーションシステム契約《エコウィルで発電エコぷらん》
家庭用燃料電池契約《エネファームで発電エコぷらん》

群馬地区は値上げ幅が異なります

東京地区と群馬地区では値上げの内訳が異なります。群馬地区では基準単位料金も引き上げられるため、標準家庭(36m³/月)では241円の増加となります。お住まいのエリアを確認しておきましょう。

地区 基本料金の変更 単位料金の変更 標準家庭の月額増加
東京地区 +150円/月 +0.02円/m³ +150円(約2.6%増)
群馬地区 +150円/月 +2.52円/m³ +241円(標準36m³の場合)

いくら値上がる?標準家庭の月額への影響

東京地区の家庭への影響を使用量別に試算しました。月額の増加はほぼ150円前後で、単位料金の変化(+0.02円/m³)は非常に小さいため、使用量によらず同程度の増加となります。

月間使用量 想定世帯 月額増加額(東京地区)
15m³ 一人暮らし 約+150円
30m³(標準家庭) 2〜3人 +150円(公式値)
45m³ 3〜4人(大家族) 約+151円

注意:上記は基本料金・単位料金の変化のみを反映した試算です。実際の請求額には「原料費調整額」も含まれます。原料費調整額については後の章で詳しく解説します。

払込書手数料も値上がりします

同じく2026年11月検針分から、払込書(振込票)で料金を支払っている方の手数料も改定されます。220円から270円への引き上げとなります。口座振替やクレジットカード払いをご利用の方は対象外です。

あわせて、請求料金が1,500円未満の場合に翌月分とまとめて請求する「翌月合算制度」も廃止されます。ガスの使用量が非常に少ない方はご注意ください。

なぜ46年ぶりの値上げ?背景と理由

今回の値上げは1980年以来46年ぶりという歴史的なものです。なぜこれほど長期間にわたって据え置かれてきた料金が引き上げられることになったのでしょうか。

東京ガスは値上げの理由として、主に3つの要因を挙げています。

① 人件費の上昇

都市ガス事業はコールセンターの運営や定期保安点検など、多くの人員を必要とします。日本全体の賃金水準の上昇を受け、これらの人件費が年々増加しています。社会インフラを安定的に維持するためには、一定のコスト増は避けられない状況です。

② 資機材価格の高騰

LNG(液化天然ガス)基地の設備維持・修繕に必要な資機材の価格が高騰しています。ガスの安全な供給を続けるためのインフラコストが上昇しており、これが料金に反映される形になります。

③ 都市ガス販売量の減少

省エネ家電の普及やオール電化住宅の増加により、都市ガスの販売量が長期的に減少しています。販売量が減ると固定費の回収が難しくなるため、単価を引き上げないとサービスの継続が困難になるという構造的な問題があります。

なぜ今まで値上げしなかった?東京ガスは1980年以降、LNG価格の変動分は「原料費調整制度」によって自動的に料金に反映してきたため、基本的な料金体系自体は変更しないで済んでいました。しかし今回は、原料費調整では吸収しきれない人件費・資材費の構造的なコスト増に対応するため、料金体系そのものを見直すことになりました。

原料費調整額との関係:実際の請求はどう変わる?

東京ガスの料金には「原料費調整制度」という仕組みがあります。これはLNG・LPGの仕入れ価格の変動を毎月の料金に反映させる制度で、実際の請求額に大きく影響します。今回の改定ではこの仕組みにも変更が加えられており、「+150円だけ値上がりする」とは単純には言えない状況です。

原料費調整制度とは?

毎月の単位料金は、あらかじめ定めた「基準単位料金」に、原料価格の変動に応じた「調整額」を加減算して決まります。直近の原料価格が基準価格より高ければ調整額はプラス(値上げ方向)、低ければマイナス(値下げ方向)になります。

換算係数は「原料価格が100円/トン変動するごとに、1m³あたり0.081円(消費税込みで約0.089円)調整」です。

10月からは基準平均原料価格も変わります

今回の改定では、基本料金の値上げと同時に、原料費調整制度の「基準平均原料価格」も変更されます。

項目 改定前(現在) 改定後(2026年11月検針分〜)
基準平均原料価格(東京地区) 57,250円/トン 86,100円/トン
変化量 約28,850円/トン引き上げ(約50%増)

基準価格が大幅に引き上げられることにより、原料費調整額は現在より大きく下がる方向に動きます。

実際の影響試算(2026年1〜3月の原料価格水準で計算)

2026年1〜3月の平均原料価格は約87,310円/トンでした(東京ガス発表)。この水準が続くと仮定した場合の影響を試算してみます。

条件 基準価格との差 調整額(+m³) 30m³世帯への影響
現在(基準57,250円) 約+30,000円超過 約+26.7円/m³ 月額に約801円上乗せ
改定後(基準86,100円) 約+1,200円超過 約+1.0円/m³ 月額に約30円上乗せ

同じ原料価格水準(87,310円/トン)で比較した場合、改定後の調整額は現在より約770円減少します。基本料金が+150円値上がりしても、調整額の減少分(約770円)の方が大きいため、当面の実質的な料金は今より安くなる可能性があります。

LNG価格がいくらを超えると今より高くなる?(損益分岐点の試算)

「改定後に原料価格が上がったら、今の請求額よりいつ高くなるのか」が気になりますよね。プライシー編集部で試算してみると、LNG平均原料価格が約110,500円/トンを超えると、現在の月額(87,310円/トン時の請求額)より高くなる計算になります。

シナリオ LNG平均原料価格 30m³世帯の月額(試算) 現在との比較
現在(改定前) 87,310円/トン 約6,537円 基準
改定直後(同価格で) 87,310円/トン 約5,913円 約624円安くなる
損益分岐点 約110,500円/トン 約6,537円 現在と同水準
原料価格高騰時 120,000円/トン以上 6,537円超 現在より割高になる

つまり、原料価格が現在の87,310円/トンから20,000円以上(約23%)上昇しない限りは、改定後の方が今より安く抑えられる計算です。ただし、中東情勢の緊迫化などでLNG価格が急騰した場合は要注意です。

乗り換えを検討している方へ:東京ガスの一般料金には原料費調整額の上限(156,200円/トン)がありますが、多くの新ガス会社のプランには上限がありません。LNG価格が急騰した場合、新ガス会社の方が割高になるリスクがある点に注意しましょう。現在の原料価格動向を確認したうえで乗り換えを検討することをおすすめします。

東京ガスの値上げ対策は?節約・乗り換えの方法

値上げが決まった以上、家計への影響をできる限り抑えたいですよね。有効な対策を3つの観点から整理しました。

① ガスの使い方を見直して節約する

まずはガスの使用量自体を減らすことで、料金の増加を抑えましょう。家庭でのガス使用量の大部分は給湯(お風呂・シャワー・洗い物)に使われています。

  • 給湯温度の設定を1〜2度下げる:お湯の使用量を変えずにガス消費量を削減できます
  • お風呂の保温・追い焚きを減らす:入浴のタイミングをまとめることで追い焚き回数を削減できます
  • シャワー時間を短縮する:1分間のシャワーで約10〜12Lのお湯を使います
  • 高効率給湯器(エコジョーズ等)への買い替えを検討する:従来型と比べて熱効率が高く、同じお湯を沸かすのに使うガスを削減できます

② 他社の都市ガスへの乗り換えを検討する

2017年の都市ガス自由化以降、東京ガスのエリアでは複数のガス会社が競合しています。今回の値上げを機に、他社への乗り換えを検討するのも有効な選択肢です。

ガス会社 特徴 おすすめ世帯
エルピオ都市ガス 東京ガスより最大5.1%安い 二人暮らし以上(月30m³以上)
CDエナジーダイレクト 電気とのセットで電気・ガス料金各0.5%割引 一人暮らし、または電気もまとめて節約したい方

乗り換え時の重要な注意点:東京ガス「一般料金」には原料費調整額の上限(156,200円/トン)がありますが、多くの新ガス会社のプランには上限がありません。原料価格が急騰した場合、新ガス会社の方が割高になるリスクがあります。現在のLNG価格動向を確認したうえで判断しましょう。

乗り換え手続きは、新しいガス会社への申し込みのみで完結します。現在のガス会社への解約手続きは新会社が代行してくれるため、手続き上の負担はほとんどありません。切り替えには通常1〜2ヶ月かかりますので、早めに動くことをおすすめします。

③ 電気とのセット割を活用する

東京ガスを使い続ける場合も、電気を東京ガスとセットで契約することで「ガス・電気セット割」が適用されます。電気料金が0.5%割引になるため、電気代の節約と組み合わせることで光熱費全体のコストを抑えることができます。

よくある質問

値上げの手続きは必要ですか?

手続きは一切不要です。2026年10月1日(11月検針分)から、現在ご契約中のプランに自動的に新しい料金が適用されます。特別な申し込みや書類の提出は必要ありません。

群馬地区の値上げ幅はどのくらいですか?

群馬地区は基本料金+150円に加え、基準単位料金も+2.52円/m³引き上げられます。標準家庭(36m³/月)では月額が6,669円から6,910円となり、241円の増加となります。東京地区(+150円)と比べて値上げ幅が大きくなります。

払込書手数料も変わりますか?

はい、払込書でのお支払いの場合、手数料が220円から270円に引き上げられます(2026年11月検針分より適用)。口座振替・クレジットカード払いの方には適用されません。なお、ガスと電気の「ガス・電気セット割」が適用されている場合は、まとめて1通分の手数料のみとなります。

一人暮らしへの影響はどのくらいですか?

一人暮らし(月間使用量15m³程度)の場合、月額約150円の増加となります。年間では約1,800円の増加です。前述のとおり、基準平均原料価格の変更により原料費調整額が下がる効果もあるため、実際の増加幅はさらに小さい可能性があります。

まとめ

東京ガス値上げ、ポイントまとめ(2026年5月時点)

  • いつから:2026年10月1日(11月検針分)から自動適用。手続き不要
  • いくら:基本料金+150円/月(東京地区)。標準家庭は月5,734円→5,884円
  • なぜ:人件費・資機材コストの高騰と販売量の減少。1980年以来46年ぶりの改定
  • 実質的な影響:基準平均原料価格の引き上げにより原料費調整額が下がる効果があり、当面は実質的な影響が小さい(または今より安くなる)可能性あり
  • 対策:省エネ行動、他社への乗り換え、電気とのセット割活用などが有効

東京ガスの値上げに不安を感じている方も多いと思いますが、まずは原料費調整額の動向を確認しながら様子を見るのが得策です。もし光熱費全体をまとめて見直したい場合は、価格比較アプリ「プライシー」でエネルギー関連製品のコスト最適化を検討してみましょう。

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記事の内容は執筆時点の情報を基にしています。掲載している価格・日程・仕様等は変更になる場合があります。最新情報はご自身でご確認ください。