「給料を上げてほしいけれど、どう切り出せばいいかわからない」——そんな悩みを抱えていませんか?この記事では、現職の上司への対面交渉からメール、転職先への給与交渉、さらに断られた後の切り返しまで、場面別にそのまま使える文例を一挙にご紹介します。事前準備から成功のコツまでまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
マイナビ調査(2023年)によると、給与交渉をした人の約90%が給与アップに成功しています。勇気を出して切り出すことが第一歩。この記事では5つの場面別文例と、交渉を成功させるための準備の手順をくわしく解説します。
給料の値上げ交渉は「言い方」がすべて
「給料を上げてほしい」と思っていても、なかなか言い出せない方は多いと思います。でも実際のところ、交渉してみると多くの人が成功しているのをご存じでしょうか。
マイナビが実施した給与交渉に関する調査(2023年)では、転職時に給与交渉を行った人の90.3%が給与アップに成功し、そのうち79.4%が希望額以上の結果を得ていました。交渉は「わがまま」ではなく、むしろ当然の権利です。
一方で、交渉が通らないケースに共通するのは「感情訴求」や「根拠のない要求」です。「生活が苦しいので上げてください」という言い方より、「この半年で売上を〇%伸ばしました」という具体的な実績を示す言い方のほうが、圧倒的に通りやすくなります。
日本労働組合総連合会の2025年春闘(最終集計)では、平均昇給額16,356円/月・昇給率5.25%と、過去10年で最高水準を記録しています。大企業だけでなく中小企業でも4.65%の昇給率となっており、「賃上げを求める」環境は追い風です。市場相場を根拠に交渉しやすいタイミングといえますね。
交渉前に3つ確認する(準備の手順)
交渉の「言い方」を考える前に、まず準備を整えることが大切です。準備なしで交渉に臨むと、感情論になりやすく上司も判断に困ります。3つのステップで、説得力のある交渉材料を揃えましょう。
STEP1|市場相場を調べる
自分の職種・経験年数での市場相場を把握しておきましょう。doda・マイナビ転職・求人ボックスの「給与相場チェック」などが参考になります。「業界平均より低い」「同職種の求人が〇万円台」という根拠があると、交渉の説得力が格段に上がります。
STEP2|自分の実績を数値で整理する
「頑張った」では伝わりません。売上貢献額・コスト削減額・担当案件数・育成した部下の数など、数字で表せるものを洗い出しましょう。数値化できない実績は「〜の業務を新たに担当」「〇〇の資格を取得」という形で整理します。
STEP3|希望額の「幅」を決める
「〇万円上げてほしい」という一点張りより、「〇万円〜△万円の範囲で」という幅を持たせる伝え方のほうが、交渉がスムーズに進みます。最低ラインと理想ラインを事前に決めておきましょう。理想額は少し高めに設定するのがポイントです。
給料交渉はいつすればいい?ベストなタイミング
どれだけ準備が整っていても、タイミングが悪いと通りにくくなります。現職と転職、それぞれのベストタイミングを確認しておきましょう。
現職|人事考課・査定の時期の2〜3ヶ月前
給与改定が行われるのは多くの場合、4月または10月です。その2〜3ヶ月前——つまり1〜2月ごろや7〜8月ごろに上司へ申し出るのが理想的です。給与改定の決定プロセスは数ヶ月前から始まっていることが多く、直前に言っても手続き上間に合わないケースがあります。
また、大きなプロジェクトが成功した直後や、昇格・新しい業務を担当し始めたタイミングも交渉しやすい時期です。「評価してもらいやすい時期」を狙うのが賢い選択といえますね。
転職|内定後〜内定承諾前
転職の給与交渉は、内定通知を受けてから内定を承諾するまでの間が唯一のタイミングです。承諾後に「やっぱり給料を上げてほしい」と言うのは難しくなります。内定通知を受けたら「1〜3日以内に返答する」という姿勢を示しつつ、その間に交渉を行いましょう。
上司が繁忙期・プロジェクトの佳境・月初の目標設定直後といった時期は避けましょう。「今忙しいのに…」と思われると、内容ではなくタイミングで印象が悪くなることがあります。
【文例集】場面別・そのまま使える給料交渉の言い方・文例
ここが記事のメインです。5つの場面ごとに、そのまま使える文例をご用意しました。自分の状況に合わせてアレンジしてご活用ください。
①現職|上司への対面交渉(実績アピール型)
対面での交渉は、最初の一言の「切り出し方」が大切です。唐突に「給料を上げてほしい」と言うのではなく、感謝や報告から自然に話を移すと、上司も受け取りやすくなります。
「〇〇部長、少しよろしいでしょうか。今期の業務について振り返りたいことがあり、お時間をいただけますでしょうか。
この半年間で△△プロジェクトを担当し、売上を前期比□%向上させることができました。また、チームの業務効率化を進め、月平均○時間の工数削減にも貢献できたと思っています。
こうした貢献を踏まえて、現在の給与について見直していただくことは可能でしょうか。現在の給与は□万円ですが、市場相場と照らし合わせて、○万円〜△万円程度を希望しています。ご検討いただけますと幸いです。」
💡 ポイント:実績(数値)→ 希望額(幅)→ 「検討をお願いする」姿勢の順番で伝えるのが基本形です。
「先日、〇〇の業務を新たに担当させていただくことになりました。これまで以上に責任のある仕事を任せていただき、大変光栄に思っています。
業務範囲が広がったことを踏まえて、給与についても改めてご相談できればと思っています。現在の□万円から、○万円〜△万円程度への見直しをご検討いただけますでしょうか。」
💡 ポイント:「昇格・業務拡大に伴う見直し」という文脈を作ることで、会社にとっても筋の通った話として受け取られやすくなります。
②現職|メールで面談をセットする場合
いきなり「給与の話がしたい」と切り出すより、メールで面談の機会を設けてもらうほうがスムーズなケースもあります。メールは用件を「業務の振り返りと今後についてご相談したい」程度に留め、給与交渉という言葉は使わないのがポイントです。
件名:業務の振り返りと今後についてご相談したい件
〇〇部長
お疲れさまです。□□(氏名)です。
現在の業務状況と今後のキャリアについてご相談したいことがあり、30分ほどお時間をいただけますでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、来週以降でご都合のよい日程があればお知らせいただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
□□(氏名)
💡 ポイント:メールでは「業務・キャリアの相談」として切り出し、実際の給与交渉は面談の場で行います。上司が心の準備をする余裕を作れます。
③転職|内定後の給与交渉(対面・電話)
転職の給与交渉は「内定をいただいたことへの感謝」を先に伝えた上で、条件確認という形で自然に話を進めるのがコツです。強引に値上げを迫るのではなく、「入社に前向きだからこそ確認したい」というスタンスが伝わるようにしましょう。
「この度は内定をいただきまして、誠にありがとうございます。ぜひ入社させていただきたいと思っております。
一点確認させていただきたいのですが、給与についてご相談させていただくことは可能でしょうか。前職での経験と市場相場を踏まえて、○万円〜△万円程度でご検討いただけますと大変ありがたいと思っております。もちろん、会社のご事情もあるかと思いますので、ぜひご検討いただけますでしょうか。」
💡 ポイント:「入社したい意思をはっきり示す」→「一点確認したい」→「希望額(幅)を提示」→「ご検討をお願いする」の流れが基本です。「〜は可能でしょうか」という問いかけ形式にすることで、相手に圧力をかけずに済みます。
③-B 転職|企業から希望額を聞かれた場合
こちらから切り出す前に、企業側から「希望年収を教えてください」と聞かれるケースも多くあります。突然聞かれてもあわてず、準備した根拠と幅を持って答えられるようにしておきましょう。
採用担当:「年収の希望額を教えていただけますか?」
本人:「ありがとうございます。前職では〇〇の業務を担当し、年収△△万円をいただいておりました。御社においても即戦力として早期に貢献できると考えておりますので、可能であれば前職比10%アップの□□万円〜△△万円を希望しております。御社の評価制度や基準も踏まえてご検討いただけますと幸いです。」
💡 ポイント:聞かれた時は遠慮なく答えてOKです。「前職年収→希望額(幅)→貢献意欲」の順番で話すと自然。その場で応募企業の給与基準が不明な場合は、「御社の基準を教えていただけますか」と逆質問してから希望額を絞り込むのも有効です。
④転職|給与交渉メール(内定通知後)
給与交渉は基本的に対面・電話で行うのがベストです。メールは相手の表情や反応が見えず、ニュアンスが伝わりにくいため、場合によっては礼を欠くと受け取られることもあります。対面での打ち合わせが難しいケースや、地方からの応募で訪問が困難な場合に限って、メールでの交渉を選択しましょう。
件名:内定のご連絡に関するお礼とご確認
〇〇株式会社 採用担当 △△様
この度は内定のご連絡をいただきまして、誠にありがとうございます。貴社でぜひ働かせていただきたいという気持ちに変わりはございません。
つきましては一点ご相談がございます。提示いただいた給与について、前職での実務経験と市場相場を踏まえまして、月給○万円〜△万円の範囲でご検討いただくことは可能でしょうか。
厚かましいお願いとは存じますが、長期的に貢献できる環境で入社したいという思いからのご相談です。ご検討のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
□□(氏名)
💡 ポイント:「厚かましいお願いとは存じますが」のような一言を入れることで、交渉しながらも謙虚な姿勢を示せます。「長期的に貢献したい」という意欲も伝えると好印象です。また、メールでの交渉となった旨のおわびとして「本来であれば直接お伺いすべきところ、メールにてご連絡いたしますことをお詫び申し上げます」という一文を本文末に添えると丁寧な印象になります。
⑤断られた時の切り返し文例
交渉が断られても、そこで終わりではありません。むしろ断られた後の対応こそが、次の交渉につながる重要な場面です。感情的にならず、「では、どうすれば評価される状況になるか」を前向きに確認しましょう。
「ご検討いただいたにもかかわらず、難しいとのことで承知いたしました。一点確認させていただいてもよいでしょうか。今後、どのような実績や成果を上げれば、給与見直しをご検討いただける可能性がありますでしょうか。次の査定に向けて、具体的な目標として設定させていただきたいと思っています。」
💡 ポイント:断られた後に「どうすれば可能になるか」を聞くことで、上司との間に「次の評価に向けた合意」を作れます。感情的にならず、前向きな姿勢を見せることが信頼につながります。
「承知いたしました。それでは提示いただいた条件でご検討させていただきたいと思います。もし可能であれば、入社後の評価サイクルや昇給のタイミングについて教えていただけますでしょうか。入社後に改めてご評価いただける機会があれば、ぜひ頑張っていきたいと思っています。」
💡 ポイント:転職先に断られた場合は、無理に食い下がるより「入社後の昇給タイミング」を確認することで、将来の交渉への道を開いておくのが賢明です。入社意欲は引き続き示しましょう。
交渉で使える材料の作り方(実績の数値化)
「実績を数値で示す」ことが交渉の基本と説明しましたが、「うちの仕事は数字で表しにくい」と感じる方も多いですよね。ここでは、実績の数値化の具体的な方法をご紹介します。
数値化できる実績の例
| 職種・業務 | 数値化の切り口 | 例文 |
|---|---|---|
| 営業・販売 | 売上額・達成率・契約件数 | 「前期比120%、チーム内1位の売上」 |
| マーケティング | CV数・CPAの改善率・流入数 | 「施策改善でCV率を2倍に向上」 |
| エンジニア | リリース機能数・バグ削減率・工数削減 | 「月平均40時間のレビュー工数を削減」 |
| 管理・事務 | コスト削減額・処理件数・エラー率 | 「業務フロー見直しで月10万円のコスト削減」 |
| 教育・育成 | 育成した人数・離職率の改善 | 「新人3名のOJT担当、全員が期待評価以上」 |
数値化できない場合の伝え方
どうしても数字で表せない実績もあります。そんな場合は、「変化・質・スコープの拡大」を軸に言語化しましょう。
- スコープの拡大:「〇〇の業務を新たに担当し、チームのリーダーも兼務するようになった」
- スキルの向上・資格取得:「〇〇資格を取得し、現場での専門的な対応が可能になった」
- 社内での評価・感謝:「他部署からの相談や依頼が増え、社内での信頼が上がっていると感じている」
- 担当顧客の満足度:「長年の顧客から継続発注をいただき、担当継続の希望をいただいている」
「数字がないから交渉できない」ということはありません。大切なのは「会社に対して価値を提供していること」が伝わることです。
やってはいけないNG言動
交渉の「言い方」を誤ると、内容が良くても印象が悪くなってしまいます。以下のNG言動は避けてください。
- NG「生活が苦しいので上げてほしい」——個人の事情を持ち出す感情訴求は逆効果です。会社は個人の生活を保障する義務はなく、説得材料になりません。
- NG「〇〇さんより給料が低い」——同僚との比較は、職場の人間関係を悪化させる可能性があります。あくまで自分の実績と市場相場を根拠にしましょう。
- NG「上げてくれないなら辞めます」——脅しと受け取られ、信頼を大きく損ないます。転職活動を進めているとしても、交渉の場では伝えないほうが無難です。
- NG「〇〇万円にしてください」と一点だけ提示する——交渉の余地がなくなります。「〇万円〜△万円の範囲で」という幅を持たせた提示が基本です。
- NG繁忙期・トラブル対応中などに切り出す——上司が余裕のないタイミングは避けましょう。「落ち着いた頃に改めて話せますか」と一言添えて後日に回す判断も大切です。
よくある質問(FAQ)
「自分の価値を正当に評価してもらいたい」という意思表示は、多くの職場でごく自然な行為として受け取られています。マイナビの調査では、交渉した人の90%以上が給与アップに成功しており、「印象が悪くなって終わった」というケースは少数です。ただし、感情的な言い方や根拠のない要求は印象を下げます。実績と市場相場を根拠に、丁寧な言い方で伝えれば、印象が悪くなることはほとんどありません。
もちろんできます。在職中の交渉では、査定・評価面談のタイミングを狙うのが基本です。人事考課の2〜3ヶ月前を目安に上司に申し出ると、給与改定のプロセスに間に合いやすくなります。また、大きな成果を上げた直後や、新しい業務を担当し始めたタイミングも交渉しやすい機会です。
派遣社員の場合、給与交渉の窓口は派遣先企業ではなく、派遣会社(派遣元)です。「今の時給を見直したい」という相談を担当の営業担当者にするのが正しい手順です。契約更新のタイミングや、スキルアップ・資格取得後などが交渉しやすい機会です。派遣会社によっては時給交渉の実績があるケースも多いので、まず担当者に相談してみましょう。
まず冷静に受け止め、「どうすれば次回検討してもらえるか」を聞いてみましょう。「次の査定で〇〇の実績を上げれば見直せる」という具体的な基準を引き出せれば、次の交渉への道が開けます。現職での交渉が難しいと感じる場合は、転職市場を調べてみることも選択肢のひとつです。市場相場より明らかに低い給与であれば、転職によって大幅なアップも見込めます。
一般的には「現在の給与の5〜15%増」が交渉しやすい範囲といわれています。市場相場を調べた上で、「最低でもこの額は必要」というラインと「理想額」の幅を決めて提示しましょう。例えば、現在の月給25万円なら、希望幅を「27万〜30万円」と伝えるのが自然です。希望額があまりにも高すぎると現実味がなく、低すぎると交渉の余地がなくなります。
この記事のまとめ
- 給料交渉をした人の約90%が給与アップに成功している(マイナビ調査)——まず行動することが大切
- 交渉前の3つの準備:①市場相場を調べる ②実績を数値化する ③希望額の幅を決める
- 現職の交渉は査定2〜3ヶ月前が最適。転職交渉は内定後〜承諾前に
- 文例は「実績→希望額(幅)→検討をお願いする」の順番で伝えると通りやすい
- 断られても「次にどうすれば可能になるか」を確認して、次の機会につなげよう
- NG:感情訴求・他人比較・脅し・一点提示・繁忙期のタイミング
給料交渉の前に「自分の市場価値」を知ろう
転職を検討するなら、まず自分のスキルが市場でどれくらい評価されるかを把握することが大切です。プライシーでは、生活コスト・物価の動向をリアルタイムでチェックできます。交渉の参考情報としてもぜひご活用ください。
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