キャッシュバックの消費税は課税?不課税?勘定科目・仕訳をわかりやすく解説

クレジットカードや仕入先から受け取った「キャッシュバック」に、消費税はかかるのでしょうか。実は、キャッシュバックの消費税は提供元によって「課税」にも「不課税」にもなるため、一律に判断することはできません。この記事では、消費税の課税・不課税を分ける判定基準と、受け取ったとき・行ったときの勘定科目・仕訳例を、国税庁の通達に基づいて整理して解説します。

結論
キャッシュバックの消費税は「誰から受け取るか」で決まる
同じ「キャッシュバック」という名前でも、消費税の扱いは提供元によって正反対になります。
不課税 クレジットカード会社・決済会社など第三者からのキャッシュバック(対価性のない「債務免除」扱い)
課税 メーカー・仕入先など取引の相手方からのキャッシュバック(「売上・仕入に係る対価の返還等」に該当)

キャッシュバックの消費税は「課税」と「不課税」の両方がある

キャッシュバックの消費税を判断するには、まず消費税が課税される取引の要件を押さえておく必要があります。消費税は、次の4つの要件をすべて満たす取引にのみ課税されます。

消費税が課税される4要件

  • 国内において行われる取引であること
  • 事業者が事業として行う取引であること
  • 対価を得て行われる取引であること(対価性があること)
  • 資産の譲渡・貸付け、または役務の提供に該当すること

この4要件のうち、キャッシュバックの判定で特に重要なのが「対価性があるかどうか」です。キャッシュバックが特定の取引の値引き・返還に対応しているなら対価性ありと判断され課税、単なる第三者からの金銭の授受(債務免除)とみなされる場合は対価性なしと判断され不課税になります。

キャッシュバックの提供元典型例消費税区分
クレジットカード会社・決済サービスカード利用額に応じた現金還元不課税
メーカー・仕入先販売数量・購入額に応じた販売奨励金課税
販売店(購入先)自身飲食店の利用額に応じた現金還元課税
ポイント還元(現金化不可)買い物で貯まる企業独自ポイント原則対象外
ポイントは「不課税」ではなく「対象外」

厳密には、ポイント付与そのものは値引き前の取引に含まれるため課税・不課税の判定の外にあり、「消費税の対象外」と表現するのが正確です。ポイントを使用したときの消費税の取扱いは、別途確認が必要です。

不課税になるケース:クレジットカード会社など第三者からのキャッシュバック

クレジットカードや決済サービスの利用額に応じて受け取るキャッシュバックは、消費税の課税対象外(不課税)です。

理由は「対価性がない=債務免除」

カード会社は、商品やサービスを販売した相手(購入先)ではありません。利用者はカード会社に対して何かを販売・提供したわけではないため、対価性が認められないのです。消費税法基本通達では、このような場合を次のように整理しています。

消費税法基本通達 12-1-7(要旨)

事業者が課税仕入れの相手方に対する買掛金その他の債務について債務免除を受けた場合、当該債務免除は「仕入れに係る対価の返還等」に該当しない。

つまり、カード会社からのキャッシュバックは会計上「値引き」ではなく「債務の一部免除」として扱われ、消費税の課税対象から外れます。

仕訳例

法人カードで30万円分決済し、1%(3,000円)のキャッシュバックを後日受け取った場合の仕訳です。

借方金額貸方金額消費税区分
普通預金3,000円雑収入3,000円不課税

課税になるケース:メーカー・仕入先からのキャッシュバック

一方、商品を販売した相手(メーカーや仕入先、または購入者自身が利用した販売店)から、購入額や購入数量に応じて受け取るキャッシュバックは、「対価の返還等」に該当し消費税の課税対象になります。

「売上(仕入)に係る対価の返還等」に該当する

これは実質的に「後から行われた値引き」と同じ性質を持つためです。国税庁の消費税法基本通達では、次のように定められています。

消費税法基本通達 12-1-2(要旨)

事業者が販売促進の目的で、販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量・販売高等に応じて取引先から金銭により支払を受ける販売奨励金等は、「仕入れに係る対価の返還等」に該当する。

消費税法基本通達 14-1-2(要旨)

事業者が販売促進の目的で、販売数量・販売高等に応じて取引先に対して金銭により支払う販売奨励金等は、「売上げに係る対価の返還等」に該当する。

国税庁の質疑応答事例「消費者に対するキャッシュバックサービスの課税関係」でも、ソフトウェアメーカーが購入者全員に対して行うキャッシュバックについて、「売上げに係る対価の返還等に該当する」と明確に回答されています。

仕入税額控除の調整と仕訳例

事業者が購入者側としてこの種のキャッシュバックを受け取った場合、当初の課税仕入れに対応する消費税額の一部を、仕入税額控除から差し引く(マイナス計上する)調整が必要です。

仕入額10万円(税込11万円)に対し、購入数量に応じて1万円(税込1.1万円)のキャッシュバックを受け取った場合の仕訳例です。

タイミング借方金額貸方金額
購入時仕入(課税仕入10%)110,000円普通預金110,000円
キャッシュバック確定時未収金11,000円仕入(課税仕入返還等10%)11,000円
入金時普通預金11,000円未収金11,000円
販売数量等に連動しない場合は不課税

同じ「取引先からのキャッシュバック」でも、販売数量・販売高などの基準に対応していないもの(一律配布のプレゼント的な支出など)は、対価性が認められず不課税取引になります。契約内容やキャンペーンの算定基準を必ず確認しましょう。

キャッシュバックの勘定科目と仕訳例(受け取ったとき・したとき)

キャッシュバックの勘定科目は、「受け取ったか、行ったか」「その場ですぐか、後日か」の組み合わせで決まります。まずは早見表で全体像を確認しましょう。

その場ですぐ(即時型)後日(振込・付与)
自社が受け取ったとき直接「値引き」として計上雑収入
自社が行ったとき直接「値引き」として計上(売上値引)販売促進費 または 広告宣伝費

受け取ったときの仕訳例

30,000円の備品を購入し、その場で1,000円のキャッシュバック(値引き)を受けた場合は、値引き後の金額で計上するだけなので追加の仕訳は不要です。

借方金額貸方金額
消耗品費29,000円現金29,000円

一方、後日1,000円が事業用口座に振り込まれた場合は、「雑収入」で計上します。

借方金額貸方金額
普通預金1,000円雑収入1,000円

行ったとき(自社が消費者・取引先に支払う場合)の仕訳例

100,000円の商品購入者に対し、その場で10%(10,000円)を値引きした場合は、値引き後の金額で売上計上します。

借方金額貸方金額
普通預金90,000円売上90,000円

後日振込でキャッシュバックする場合は、いったん全額を売上計上したうえで、支払時に「販売促進費」または「広告宣伝費」で処理します。

タイミング借方金額貸方金額
販売時普通預金100,000円売上100,000円
キャッシュバック時販売促進費10,000円普通預金10,000円
販売促進費と広告宣伝費、どちらを使う?

特定の顧客・取引先に直接支払う場合は「販売促進費」、不特定多数への宣伝を目的とする場合は「広告宣伝費」を使うのが一般的です。どちらを選んでも最終的な利益は変わらないため、自社内でルールを統一しておくことが重要です。

個人事業主・給与所得者が受け取った場合の税金

キャッシュバックは、法人・個人事業主に限らず、受け取った本人にとって「得した部分」であるため、原則として所得税(法人の場合は法人税)の課税対象になります。ただし、所得区分が立場によって異なります。

個人事業主は「雑収入」、給与所得者は「一時所得」

個人事業主が事業に関連して受け取ったキャッシュバックは、事業所得の「雑収入」として計上します。一方、給与所得者(サラリーマン)が個人的に受け取ったキャッシュバックは、事業性がないため一時所得に区分されるのが一般的です。

  • 一時所得には年間50万円の特別控除があり、他の一時所得と合算しても年間50万円以下であれば課税されません
  • 給与所得者は、給与以外の所得が年間20万円以下(一時所得の場合は合計90万円以下が目安)であれば、原則として確定申告は不要です
「雑収入」と「雑所得」を混同しない

個人事業主の会計処理で使う勘定科目「雑収入」と、所得税の所得区分「雑所得」は名前が似ていますが別物です。事業に関連するキャッシュバックは勘定科目としては「雑収入」ですが、税務上は「事業所得」に含まれます。「雑所得」に計上してしまうと、青色申告特別控除の対象から外れるなど扱いが変わるため注意しましょう。

キャッシュバックの消費税処理でよくある間違いと対策

キャッシュバックの処理では、次のような誤りが起こりやすいポイントです。

間違い1:「キャッシュバック=すべて不課税」と思い込む

クレジットカードのキャッシュバックが不課税であることから、他のキャッシュバックも一律不課税だと誤解してしまうケースです。実際には、提供元が取引の相手方かどうかで判定が変わります。過去の処理をそのまま流用せず、取引ごとに契約内容を確認しましょう。

間違い2:勘定科目と消費税区分を混同する

「雑収入で処理しているから課税対象」といった思い込みで、消費税区分を誤って設定してしまうケースです。勘定科目の選択(会計処理)と消費税の課税・不課税の判定(税務処理)は別の話であり、それぞれ独立して判断する必要があります。

間違い3:証憑を保存せず、後から根拠を示せない

キャッシュバックの算定基準(購入数量・購入額に連動するかどうか)は、契約書や通知書がなければ判定できません。税務調査で説明を求められたときのために、契約内容・通知書・振込明細は必ず保存しておきましょう。

まとめ

  • キャッシュバックの消費税は、クレジットカード会社等の第三者からなら「不課税」、メーカー・仕入先・購入先からなら「課税」が原則
  • 勘定科目は「即時型なら値引き」「後日型なら雑収入(受取)/販売促進費・広告宣伝費(支払)」で使い分ける
  • 個人事業主は事業所得の雑収入、給与所得者は一時所得として扱われる(雑所得と混同しないよう注意)
  • 判断に迷う場合は契約内容の対価性を確認し、証憑を保存したうえで税理士に相談する

よくある質問

ポイント還元の消費税区分は?

現金化できないポイント還元は、値引き前の取引そのものに含まれるため、課税・不課税という区分ではなく「消費税の対象外」として扱われるのが一般的です。ポイントを使用して商品を購入する際の消費税の取扱いは、ポイント発行時の値引き有無によって異なるため、別途確認が必要です。

キャッシュバックはすべて不課税ですか?

いいえ、すべて不課税というわけではありません。クレジットカード会社など第三者からのキャッシュバックは不課税になりやすい一方、メーカーや仕入先など取引の相手方から購入額・購入数量に応じて受け取るキャッシュバックは、「対価の返還等」に該当し課税対象となります。

個人が受け取ったキャッシュバックは確定申告が必要ですか?

給与所得者の場合、キャッシュバックは一時所得に区分されるのが一般的で、年間50万円の特別控除があります。給与以外の所得(一時所得は1/2にする前の金額)が一定額を超えない限り、原則として確定申告は不要ですが、金額が大きい場合や他の一時所得と合算する場合は注意が必要です。

キャッシュバックを行った側(法人)の勘定科目は?

その場で値引きする場合は「売上値引」として売上から直接減額します。後日振込等で還元する場合は「販売促進費」または「広告宣伝費」で処理するのが一般的です。特定の顧客・取引先への直接支出なら販売促進費、不特定多数への宣伝目的なら広告宣伝費を使うのが実務上の目安です。

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