東京海上日動の火災保険、2024年10月にいくら値上がったか
参考純率13%引き上げが引き起こした大改定
火災保険の保険料の基準となる「参考純率」を定める損害保険料率算出機構が、2023年6月届出の改定で全国平均+13%という過去最大の引き上げを行いました。この参考純率の改定が2024年10月から各社の実際の保険料に反映されています。
東京海上日動の「トータルアシスト住まいの保険」も例外ではなく、2024年10月以降の新契約・更新契約からこの新しい保険料率が適用されています。
東京都内の場合:構造別の値上がり幅
参考純率の改定率は建物の構造と都道府県ごとに異なります。東京都内の場合、以下のような引き上げとなっています。
| 構造区分 | 主な対象 | 東京都の改定率 |
|---|---|---|
| M構造(耐火構造) | マンション・鉄筋コンクリート造など | +10.4% |
| T構造(準耐火構造) | 耐火性の高い戸建て | +13.3% |
| H構造(その他) | 木造戸建てなど | +6.3% |
出典:損害保険料率算出機構「2023年6月届出 火災保険参考純率改定」|保険金額:建物2,000万円・家財1,000万円・築10年以上の場合
興味深いのは、一般的に「火事のリスクが高い」と思われる木造戸建て(H構造)の引き上げ幅がマンション(M構造)より小さいことです。これは近年の台風・水害による保険金支払いが特にマンション・準耐火構造の建物でも膨らんでいることが背景にあります。
実際の保険料はいくら上がる?(試算例)
東京海上日動は代理店経由専用のため、公式のWEB試算ツールがありません。参考として、2020年時点のサンプル保険料をもとに試算すると、東京都内・新築木造戸建て100㎡・建物2,000万円+家財1,000万円・5年一括払いの場合、充実タイプ+地震保険ありで年間約97,720円という実績があります(2022年10月以前の契約)。
H構造の改定率+6.3%を単純に適用すると、年間約103,000〜110,000円以上になる計算です。実際は補償内容や契約条件によって異なりますが、年間で数千〜1万円超の値上がりは十分あり得ます。
東京海上日動の保険料は代理店または「住まいのほけん相談窓口(0120-868-100)」で確認できます。更新案内が届いた方は、同封の更新保険料と現在の保険料を比較してみてください。
値上がりした4つの理由
① 自然災害の多発による保険金支払いの増大
最も大きな要因は、近年の台風・水害による保険金支払いの急増です。2018年は台風21号・台風24号・7月豪雨などが相次ぎ、火災・新種保険の年間支払額が約1兆3,982億円に達しました。2019年の台風19号でも単独で約5,181億円に上りました。このような巨額の支払いが続くと、保険会社は収支を維持するために保険料を引き上げざるを得なくなります。
② 建築コスト・人件費の高騰
火災保険の保険金額の基準となる「再調達価格(同等の建物を新たに建てるのにかかる費用)」が、建材費や工事費・人件費の上昇により大幅に上がっています。住宅1棟あたりの修繕・再建コストが増加している分、保険金の支払い単価も上がるため、純保険料の引き上げが必要になっています。
③ 参考純率の改定(2015年以来4回目・最大幅)
参考純率は2015年以降、2015年・2019年・2021年・2024年と4回にわたって改定されてきました。今回の2024年10月の改定は、改定幅が過去最大(全国平均+13%)です。段階的な値上げが続く中で、2024年の改定が累積的な引き上げの「集大成」となっています。
④ 全国的な建物の老朽化
日本全国で築年数の古い住宅が増えており、築50年以上の住宅も珍しくない状況です。特に配管や電気設備の劣化が進んだ建物では火災や水漏れなどのリスクが高まります。こうした建物の老朽化リスクが保険料に反映されるようになったことも、値上がりの背景のひとつです。東京海上日動でも築年数に応じたリスク評価が保険料設計に組み込まれています。
2025年問題:あなたの保険はいつ値上がるか
2015年10月加入・10年契約者への影響
「2025年問題」とは、2015年10月以降に最長10年の火災保険契約を結んだ方が、2025年10月以降に一斉に更新時期を迎えることを指します。更新すると2024年10月改定後の新しい保険料率が適用されるため、多くの方が更新のたびに保険料が大きく跳ね上がるという問題です。
東京海上日動のトータルアシスト住まいの保険も同様で、2015年10月以降に10年契約を結んだ方は2025年以降に順次更新時期が訪れます。この10年の間に参考純率の改定は4回行われているため、2015年当初の保険料と更新時の保険料には大きな差が生じる可能性があります。実際に更新案内が届いた方からは「倍近くに値上がりしていた」というケースも報告されています。
2022年10月以降の契約は最長5年
2022年10月以降、火災保険の最長契約期間が10年から5年に短縮されました。つまり2022年10月以降に新規契約した方は、最長でも5年後(2027年以降)が最初の更新タイミングになります。
自分の更新タイミングの確認方法
ご自身の保険の更新タイミングは、手元の保険証券の「保険期間」欄で確認できます。保険証券が見当たらない場合は、東京海上日動の代理店または「住まいのほけん相談窓口(0120-868-100)」に問い合わせることで確認できます。
更新案内には新しい保険料が記載されています。現行保険料と比較して大幅に上がっている場合は、補償内容の見直しや他社との比較を行うベストタイミングです。何もしなければ現行の補償内容で更新される場合が多いため、意識的に確認するようにしましょう。
東京海上日動は他社より保険料が高い?比較してみた
「東京海上日動の保険料は高いのか」——これはユーザーから最も多い質問のひとつです。率直に言うと、大手損保の中では保険料は安くないというのが実態です。以下に他社との比較データを示します。
東京海上日動のトータルアシスト住まいの保険は代理店経由専用のため、一括見積もりサービスのWEB試算に含まれません。そのため、以下の比較表には東京海上日動の数字が掲載できていません。保険料を知るには代理店への問い合わせが必要です。
戸建て(T構造)の年間保険料比較
条件:東京都内、築10年以内、130㎡、建物3,200万円+家財700万円、5年、3等地(ダイヤモンド不動産研究所 2026年2月以降のデータをもとに作成)
| 保険会社 | 年間保険料(水災+地震あり) | 区分 |
|---|---|---|
| 損保ジャパン | 56,296円 | 大手損保 |
| 共栄火災 | 54,914円 | 準大手 |
| ソニー損保 | 50,540円 | ダイレクト系 |
| 日新火災(東京海上グループ) | 50,098円 | ダイレクト系 |
| ジェイアイ火災 | 49,914円 | ダイレクト系 |
| 東京海上日動 | ※WEB試算非対応のため不掲載 | 大手損保 |
マンション(M構造)の年間保険料比較
条件:東京都内、築30年、70㎡、建物1,000万円+家財500万円、5年、水災なし・個人賠償責任保険付(同出典)
| 保険会社 | 年間保険料(地震あり) | 区分 |
|---|---|---|
| 損保ジャパン | 30,858円 | 大手損保 |
| 三井住友海上 | 27,520円 | 大手損保 |
| 共栄火災 | 27,286円 | 準大手 |
| ソニー損保 | 26,362円 | ダイレクト系 |
| 日新火災(東京海上グループ) | 25,600円(最安値) | ダイレクト系 |
| 東京海上日動 | ※WEB試算非対応のため不掲載 | 大手損保 |
「安さより補償力」という東京海上日動の立ち位置
比較データを見ると、業界全体の傾向として「大手損保>準大手>ダイレクト系」の順で保険料が高くなっています。東京海上日動は大手損保に属するため、保険料は決して安くないと考えられます。
一方で、東京海上日動のトータルアシスト住まいの保険には、失火見舞費用・地震火災費用・臨時費用・残存物取片付費用・修理費用・損害防止費用・水道管修理費用の7種類の費用保険金が自動セットされています。また、メディカルアシスト(24時間医療電話相談)や介護アシストなどの付帯サービスも充実しています。
東京海上グループには、ダイレクト系の「日新火災」があります。マンションの比較表では最安値でした。東京海上日動の補償力は欲しいがコストも抑えたい、という方はグループ内での乗り換えも検討する価値があります。
乗り換えるべき?継続するべき?判断フロー
結論から言うと、「絶対に乗り換えた方が得」という状況は限られます。ご自身の状況に照らして判断してみてください。
- 長年の付き合いのある代理店がいて、万が一の際のサポートを重視している
- 補償の手厚さ・費用保険金の自動セットを重視している
- 住所が水災等地4〜5等地で、水災リスクが高い地域に住んでいる
- 現在の補償内容に満足していて、手続きの手間を省きたい
- 保険料の削減を最優先に考えている
- 水災等地1〜2等地(低リスク)で水災補償を外すことができる
- オンラインで手続きを完結させたい(代理店不要)
- 補償を必要最小限に絞ってコストを下げたい
乗り換え時の注意点
乗り換えを決めた場合に気をつけるべきポイントが3つあります。まず、空白期間を作らないことです。旧保険の満期日の前日までに新契約を開始しないと、無保険状態になるリスクがあります。次に、長期一括払いの返戻金です。途中解約の場合、短期解約払戻率(期間に応じた割引率)で計算されるため、残期間が長いほど返戻額が減ります。最後に、地震保険は単独では加入できない点です。地震保険は火災保険にセットで加入するものであるため、乗り換え先でも地震保険の継続を忘れずに確認してください。
乗り換えを検討する際は、実際に複数社から見積もりを取ることが大切です。「保険スクエアbang!」「価格.com保険」などの一括見積もりサービスを活用することで、同じ条件での各社の保険料を比較できます。
乗り換えなくても保険料を下げる方法
乗り換えはハードルが高いと感じる方でも、現在の東京海上日動の保険の補償内容を見直すだけで保険料を下げられる場合があります。更新のタイミングで以下の4点を代理店に相談してみてください。
保険金額(再取得価額)が適正かを確認する
火災保険の補償金額は、同等の建物を新たに建築・購入するのに必要な費用「再取得価額」を基準に設定します。再取得価額より高い金額で契約していると、実際には受け取れない分まで保険料を払い続けていることになります。逆に低すぎると補償が不足します。近年の建築コスト上昇により再取得価額は上昇傾向にあります。代理店に「現在の設定金額が適切かどうか」を確認してみましょう。
水災補償の等地を確認する
住所の水災等地(1〜5段階)を損害保険料率算出機構の等地検索で確認しましょう。1等地(低リスク)では水災補償の参考純率が細分化前より平均約6%安く、5等地(高リスク)は平均約9%高くなっています。1〜2等地の低リスクエリアなら、水災補償を外すことで保険料を大幅に削減できます。
免責金額を引き上げる
東京海上日動では免責金額を0円〜20万円の範囲で設定できます。0円から10万円に引き上げるだけで、年間1〜2万円程度の節約になるケースがあります。小さな損害は自己負担として割り切り、大きな被害のみ保険を使う設計にする考え方です。
家財補償の金額を見直す
家財の保険金額が実際の家財の価値より高く設定されていると、保険料の無駄が生じます。一人暮らしや夫婦2人世帯で家財保険金額が1,000万円に設定されているようであれば、適正額(例:500万円程度)に下げることで節約できます。
不要な特約を整理する
個人賠償責任保険がクレジットカードや他の保険で既にカバーされている場合は、東京海上日動の特約として重複加入しているケースがあります。代理店に「現在の特約一覧を教えてほしい」と伝え、不要な特約を外すだけでも節約につながります。なお、地震保険は外さないことを強くおすすめします。
よくある質問(FAQ)
多くの場合、保険期間の満了前に代理店または東京海上日動から更新案内が届きます。自動更新される場合もありますが、更新前に補償内容の確認・変更ができます。更新案内が届いたら、現在の保険料と新しい保険料を比較し、補償内容を見直す絶好の機会として活用しましょう。
新しい保険会社と契約を締結してから、旧保険を満期解約するのが基本手順です。空白期間(無保険期間)が生じないよう、旧保険の満期日の前日までに新契約を開始するのがポイントです。長期一括払い契約を途中解約する場合は短期解約払戻率での返戻金になりますので、残期間が長い場合は更新タイミングまで待つのが得策です。
「保険スクエアbang!」「価格.com保険」などの一括見積もりサービスが便利です。ただし、東京海上日動はWEB試算に対応していないため、これらのサービスには含まれません。東京海上日動の保険料を知りたい場合は、代理店か「住まいのほけん相談窓口(0120-868-100)」に問い合わせてください。他社の一括比較に加えて、東京海上日動の見積もりを個別に取得して比較するのがベストです。
この記事のまとめ
- 2024年10月改定で参考純率は全国平均+13%。東京の木造戸建て(H構造)は+6.3%、マンション(M構造)は+10.4%の引き上げ。
- 値上がりの背景は自然災害の多発・建築コスト上昇・参考純率改定・建物老朽化の4つ。
- 2015年10月以降に10年契約した方は2025年以降に順次更新→新保険料率が適用される「2025年問題」に注意。
- 東京海上日動の保険料は大手損保の中でも安くない傾向。ネット系損保とは年間数万円の差が生じることも。
- 補償・サポートを重視するなら継続。コスト削減を優先するならネット系損保への乗り換えを検討する価値あり。
- 乗り換えなくても、水災等地の確認・免責金額引き上げ・家財補償の見直し・不要特約の整理で節約できる。
