「Salesforceがまた値上げ?」——そう感じている担当者の方は多いのではないでしょうか。2023年に7年ぶりの値上げを実施したばかりのSalesforceが、2025年にも再び価格改定を行いました。いつから、いくら上がったのか、そして自社はこのまま使い続けるべきか——本記事で整理してお伝えします。
Sales Cloud・Service Cloud・Field ServiceのEnterprise/Unlimited Editionが対象です。Starter・Pro Suiteは対象外です。2023年の9%値上げと合わせると、直近2年強で累計約15〜32%のコスト増になる計算です。値上げの主因はAI(Agentforce)開発への大規模投資です。
Salesforceの値上げ内容|2025年8月からの改定まとめ
Salesforceは公式発表において、2025年8月1日より主要クラウド製品の標準価格を平均6%引き上げると発表しました。ただし、実際の値上げ幅はプランによって大きく異なります。特にProfessional(旧称: Pro Suite)は約25%もの大幅な値上げとなっており、中小企業への影響が注目されています。
値上げ対象エディションと新旧価格比較(Sales Cloud)
| エディション | 改定前(税抜/月/ユーザー) | 改定後(税抜/月/ユーザー) | 値上げ幅 |
|---|---|---|---|
| Starter Suite | 3,000円 | 3,000円 | 変更なし |
| Professional(Pro Suite) | 9,600円 | 12,000円 | +25.0% |
| Enterprise | 19,800円 | 21,000円 | +6.1% |
| Unlimited | 39,600円 | 42,000円 | +6.1% |
| Agentforce 1 Sales | 60,000円 | 66,000円 | +10.0% |
※価格はすべて税抜・年間契約を前提とした月額換算です。出典: セールスフォース・ジャパン公式販売価格ページ
Professionalの値上げ幅は「平均6%」より大きい
Salesforceの公表では「平均6%」とされていますが、Professionalは9,600円→12,000円と実質25%もの値上げです。中小企業が多く利用するProプランは、今回の改定で最も大きな影響を受けています。
Service Cloud・Field Serviceも同様に値上げ
今回の価格改定はSales Cloudだけではありません。Service CloudのEnterprise・Unlimited Editionも同様の価格改定が適用されます。Field Service(フィールドサービス管理)や一部の業種別ソリューション(Industries Cloud)についても、Enterprise/Unlimited Editionが対象です。
また、同じ2025年6月の発表でSlackの価格改定も明らかになりました。SlackのBusiness+プランは年払い換算で月額1,920円→2,160円(約13%増)となります。SalesforceとSlackを両方利用している場合は、合算でのコスト増加を確認しておきましょう。
Starter・Pro Suiteは値上げなし
Salesforce Foundations、Starter Suite、Pro Suiteについては、今回の価格変更の対象外です。すでにこれらのプランを利用中の方は、2025年8月以降も現行価格が継続されます。
既存ユーザーへの適用タイミングについて
Salesforceの価格改定は一般的に、新規契約または既存契約の更新時に新価格が適用されます。2023年の値上げの際も「新規顧客および新規クラウド製品を購入する既存顧客」から新価格が適用されました。具体的な適用タイミングについては、担当の営業担当者にご確認ください。
2023年の値上げとの違いは?値上げの歴史を振り返る
今回の2025年の値上げは、実はSalesforceにとって連続した値上げの一環です。振り返ると、2023年に7年ぶりの価格改定がありました。その直後にまた値上げ——今どのくらいコストが上がっているのか、長期視点で確認しておきましょう。
2010年→2016年→2023年→2025年の価格推移
| 適用開始時期 | Professional(月額/税抜) | Enterprise(月額/税抜) | Unlimited(月額/税抜) |
|---|---|---|---|
| 2010年〜 | 7,500円 | 15,000円 | 30,000円 |
| 2016年5月〜 | 9,000円 | 18,000円 | 36,000円 |
| 2023年8月〜(7年ぶり) | 9,600円 | 19,800円 | 39,600円 |
| 2025年8月〜(最新) | 12,000円 | 21,000円 | 42,000円 |
累計でどのくらい上がった?
2010年を起点に現在(2025年8月以降)と比較すると、値上がり幅は以下の通りです。
- Professional: 7,500円 → 12,000円(+60%)
- Enterprise: 15,000円 → 21,000円(+40%)
- Unlimited: 30,000円 → 42,000円(+40%)
さらに2023年の改定前と比較しても、直近2年強で累計15〜25%のコスト増となっています。日本のインフレ率が年3〜4%程度であることを考えると、かなり早いペースの値上げといえるでしょう。
なぜ値上げするのか?3つの理由
「これだけの値上げには何か理由があるはず」と思う方も多いでしょう。Salesforceが公表している値上げの背景には、主に3つの要因があります。
① AI(Agentforce)開発への巨額投資
Salesforceは2023年の公式プレスリリースにおいて、値上げの理由として「最近の生成AIのイノベーションを含む数千の新機能を提供し、研究開発に200億ドル以上を投資してきた」と説明しています。
2024年から2025年にかけては、自律型AIエージェントを提供する「Agentforce」を大規模展開。会話数や処理したアクション数に応じて課金されるFlexクレジット制など、AI機能を中心とした新たな料金体系も整備されました。この開発投資のコストが、価格改定に反映されていると考えられます。
② グローバルインフレと円安の影響
Salesforceは米国に本社を置くグローバル企業です。米国での人件費・インフラコストの上昇に加え、円安によって日本円換算での製品コストが実質的に上昇しているという側面もあります。SaaS業界全体で値上げが続いている背景も、こうした経済環境の変化によるものです。
③ 継続的な機能追加・イノベーション
Salesforceは値上げ理由として「継続的なイノベーションと顧客価値の提供」を掲げています。2016年から2023年の7年間で22の新リリースを提供してきた実績があり、今後もAIを軸とした機能進化を継続する方針です。ただし、こうした機能を「自社が実際に使いこなせているか」を冷静に問い直すことも大切ではないでしょうか。
値上げで実際いくら増える?ユーザー数別コストシミュレーション
「うちの会社だと年間でどのくらいの負担増になるの?」——それが一番気になるところですよね。ユーザー数別・プラン別に年間コストの増加額を試算しました。
Professionalプランの場合(9,600円 → 12,000円)
Professionalは月額2,400円/ユーザーの値上げです。30ユーザーだと年間86万円以上のコスト増になります。これは無視できない金額ですよね。
Enterpriseプランの場合(19,800円 → 21,000円)
試算の前提
上記の計算は税抜・年払い契約を前提にしています。実際のコストはオプション追加・Premier Success Planの有無・割引交渉の結果によって変わります。担当営業に正確な見積もりを依頼しましょう。
Salesforce値上げへの3つの対応策
値上げが確定した以上、何もしないのはもったいない選択です。コスト増加への対応策として、大きく3つの方向性があります。自社の状況に合わせて検討してみてください。
まず確認したいのが「今のプランのすべての機能を使いこなせているか」という点です。Salesforceは高機能なぶん、使われていない機能も多くなりがちです。Enterprise以上を契約しているが、API連携や高度な自動化をほとんど使っていないという場合は、Pro Suiteへのダウングレードも選択肢に入ります。ただし、ダウングレードは契約期間中は原則できないため、次回更新時の契約変更として検討しましょう。
大手SaaSであるSalesforceも、ユーザー数が一定規模以上の場合や長期契約の場合は、ボリュームディスカウントや割引の交渉の余地があります。値上げ通知が来たタイミングで、担当営業に「継続更新に際してのディスカウント」を相談してみる価値があります。特に、代替ツールへの乗り換えを具体的に検討していることを伝えると、交渉がしやすくなることがあります。
費用対効果を根本的に見直すなら、HubSpot・Zoho CRM・国産CRMなど他社への移行も選択肢です。特に中小企業の場合、Salesforceの機能がオーバースペックになっている可能性があります。乗り換えにはデータ移行コストや再設定の工数が発生しますが、長期的にはコスト削減につながるケースも少なくありません。
| ツール | 月額目安(税抜) | 向いている企業規模 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Salesforce Enterprise | 21,000円/ユーザー | 中堅〜大企業 | 高機能・高カスタマイズ性。API標準対応。Agentforce対応。 |
| HubSpot Sales Hub Pro | 約12,000円/ユーザー | 中小〜中堅企業 | 直感的なUI。MA・CRM・サポートを1つで管理。無料プランあり。 |
| Zoho CRM | 約2,400〜6,240円/ユーザー | スタートアップ〜中小企業 | コスト最安水準。SalesforceからのデータをほぼそのままインポートOK。 |
※価格は公開情報をもとにした概算です。為替・プラン変更等により変動します。
続けるべき?乗り換えるべき?企業別の判断基準
「そもそも自社はSalesforceを継続すべきか」——この判断が一番難しいところではないでしょうか。以下の基準を参考に、自社に当てはまるパターンを確認してみてください。
- 大企業または中堅企業でユーザー数が多い
- 基幹システムとのAPI連携が必須
- Agentforce(AI)の活用を計画している
- カスタマイズや構築に大きく投資してきた
- SalesforceのE-E-A-T(専門知識・権威性)が必要
- 専任のSalesforce管理者を配置できる
- 中小企業でユーザー数が少ない(〜30名程度)
- 導入から年数が経ちコスト負担が重くなってきた
- 機能の半分以上を使いこなせていない
- API連携や高度なカスタマイズをほぼ使っていない
- Agentforce(AI)の活用予定がない
- Salesforce専任担当者がいない
「Salesforceは素晴らしいツールだが、費用に見合う使い方ができているか」が判断の核心です。特に導入から5年以上経過し、運用が固まってきた企業は、今回の値上げをコスト見直しのきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Salesforceの一般的な契約ルールでは、既存ユーザーへの新価格の適用は次回の契約更新時となります。2023年の値上げの際は「新規顧客および新規クラウド製品を購入する既存顧客」から新価格が適用されました。ただし、具体的な適用タイミングは契約内容によって異なるため、担当営業または契約書の条件をご確認ください。
2025年8月の価格改定において、Salesforce Foundations・Starter Suite・Pro Suiteは対象外であり、価格変更はありません。価格改定が適用されるのは、Sales Cloud・Service Cloud・Field ServiceのEnterprise Edition・Unlimited Edition、および一部の業種別ソリューションです。
交渉の余地はゼロではありません。特にユーザー数が多い場合や長期契約の場合は、ボリュームディスカウントや特別価格が提供されることがあります。契約更新の前に担当営業に相談し、「他社ツールの検討を進めている」という交渉カードを持った上で話し合うと、より交渉がしやすくなります。
はい、Agentforceを利用していなくても、Enterprise・Unlimited Editionのベースライセンス料自体が値上げされます。Agentforceは別途のオプション・ライセンスとして追加購入するものですが、今回の価格改定はベースプランの値上げです。Agentforceの利用有無にかかわらず、Enterprise・Unlimited利用者は値上げの影響を受けます。
まとめ
Salesforce値上げのポイントまとめ
- 2025年8月1日より、Enterprise・UnlimitedEditionが平均6%値上げ(Professional は約25%増)
- 2023年の9%値上げと合わせると、2010年比で最大60%以上のコスト増になる可能性も
- Starter・Pro Suiteは今回の値上げ対象外
- 値上げ理由はAI(Agentforce)への大規模投資、インフレ、継続的機能追加の3つ
- 対応策は①プランの見直し ②価格交渉 ③代替ツールへの乗り換えの3択
- 大企業・API連携必須・AI活用予定なら継続を。中小企業・機能を使いこなせていないなら乗り換えも検討を
Salesforceの値上げは、単なるコスト負担の増加ではなく、自社のCRM投資を見直すきっかけにもなります。「本当にSalesforceでなくてはならないのか」を今一度考えてみることが、長期的なコスト最適化への第一歩です。
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