「入院食事代が値上がりする」というニュースを耳にして、「自分は一体いくら払うことになるの?」と気になっていませんか。2026年6月1日から、入院中の食事にかかる標準負担額が引き上げられます。2024年・2025年に続く3年連続の値上げです。所得区分ごとの新しい金額、値上げの理由、家計への影響をまとめました。
住民税非課税世帯は240円→270円(+30円)、低所得Ⅰは110円→130円(+20円)です。食事代は高額療養費の対象外のため、全額が自己負担になる点に注意が必要です。低所得者は「限度額適用・標準負担額減額認定証」の申請で負担を軽減できます。
2026年6月から入院食事代はいくら?
2026年6月1日から施行される令和8年度診療報酬改定により、入院時食事療養の標準負担額が改定されます。「標準負担額」とは、患者さんが窓口で支払う1食あたりの自己負担額のことです。
所得区分別の標準負担額一覧(2026年6月1日〜)
| 所得区分 | 現行(2025年4月〜) | 2026年6月1日〜 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 一般所得者 | 510円 | 550円 | +40円 |
| 住民税非課税世帯(低所得Ⅱ)※入院90日まで | 240円 | 270円 | +30円 |
| 住民税非課税・70歳以上で所得基準未満(低所得Ⅰ) | 110円 | 130円 | +20円 |
「一般所得者」とは、住民税が課税されている方が基本的に該当します。多くの方がこの区分になりますので、1食40円・1日120円・30日入院で3,600円の増加をイメージしておきましょう。
📋 指定難病・小児慢性特定疾病の方へ
現行(2025年4月〜)の負担額は1食300円です。2026年6月以降の改定額は複数ソースで確認中のため、詳細はご加入の健康保険組合または入院される医療機関にご確認ください。
療養病床(65歳以上)の食費・光熱水費
長期療養を目的とした療養病床に入院されている65歳以上の方は、食費に加えて光熱水費の自己負担があります。こちらも2026年6月1日から見直されます。
| 区分 | 現行(1日あたり) | 2026年6月1日〜 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 原則(一般) | 370円 | 430円 | +60円 |
| 指定難病患者等 | 0円 | 0円 | ±0(据え置き) |
光熱水費は2006年(平成18年)の制度創設以来、約20年間ずっと据え置かれてきました。それが今回の改定で一気に60円引き上げられます。療養病床に入院されているご家族がいる方は特に注意が必要です。
入院食事代の推移|2024年から3年連続値上げ
今回の値上げは突然起きたわけではありません。2024年から3年連続で引き上げが行われており、その幅は年々大きくなっています。一般所得者の患者負担額(1食)の推移を見てみましょう。
| 改定時期 | 患者負担額(一般・1食) | 前期比 |
|---|---|---|
| 〜2024年5月 | 460円 | — |
| 2024年6月〜2025年3月 | 490円 | +30円 |
| 2025年4月〜2026年5月 | 510円 | +20円 |
| 2026年6月〜(改定後) | 550円 | +40円 |
2024年:+30円、2025年:+20円、2026年:+40円と、値上げ幅が拡大しているのが気になるところです。わずか2年間で460円から550円へ、実に90円(約20%)の値上がりです。
なぜ入院食事代が値上がりするのか
「なぜ医療費まで値上がりするの?」と思った方も多いはずです。今回の値上げには大きく2つの背景があります。
①食材費・調理コストの高騰病院の食事は給食委託業者が調理・提供しているケースがほとんどです。食品全体の物価上昇(消費者物価指数の食料分野)が継続しており、業者からの値上げ要請が病院側に相次いでいます。物価上昇率約6.5%を510円に乗じた約33円に調理・提供コストを加味して、40円引き上げという算定になっています。
②光熱水費の約20年間据え置き療養病床の光熱水費(1日370円)は2006年(平成18年)の制度創設以来、約20年間ずっと据え置かれてきました。その間の電気・ガス代の高騰がそのまま積み上がった形で、今回一気に60円の値上げとなっています。
値上げはモノの値段だけの話ではなく、医療・介護の現場を支えるコスト全体の問題でもあります。入院食事代の値上がりは、その構造的な課題の一端を私たちが負担することになります。
食事代は高額療養費の対象外【注意】
⚠️ 重要な注意点
入院時の食事代は、高額療養費制度の対象外です。どれだけ長期入院になっても、食事代は毎月の高額療養費の上限計算に含まれません。
高額療養費制度は、医療費(治療費・薬代など)が月ごとの上限を超えた分を健保が払い戻してくれる制度です。しかし入院食事代は「治療費」ではなく「生活費」として扱われるため、この上限管理の外にあり、全額が自己負担となります。
例えば30日間の入院で一般所得者が支払う食事代は、改定後で1日3食×550円×30日=49,500円です。手術や治療費には高額療養費が適用されても、食事代はそのまま上乗せでかかってきます。
入院の医療費を試算するときは、治療費と食事代を分けて考えるようにしておきましょう。
入院日数別 食事代の増加額シミュレーション
「実際にいくら増えるの?」という疑問に答えるため、入院日数別にシミュレーションしました。1日3食の想定です。なお、一般病床の平均在院日数は約15日(2025年9月時点・厚労省病院報告)ですので、「14日(2週間)」の行が多くの方にとって参考になるかと思います。
一般所得者(1食+40円 / 1日+120円)
| 入院日数 | 現行の食事代合計 | 2026年6月以降 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 7日(1週間) | 10,710円 | 11,550円 | +840円 |
| 14日(2週間) | 21,420円 | 23,100円 | +1,680円 |
| 30日(1ヶ月) | 45,900円 | 49,500円 | +3,600円 |
住民税非課税世帯(低所得Ⅱ、90日まで)(1食+30円 / 1日+90円)
| 入院日数 | 現行の食事代合計 | 2026年6月以降 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 7日(1週間) | 5,040円 | 5,670円 | +630円 |
| 14日(2週間) | 10,080円 | 11,340円 | +1,260円 |
| 30日(1ヶ月) | 21,600円 | 24,300円 | +2,700円 |
非課税世帯では現行でも一般の半額以下ですが、その分だけ増加額も軽減されています。ただし、もともとの金額が小さい方にとって1食あたり30円・1ヶ月2,700円の増加は決して無視できない金額ですよね。
💡 90日を超える長期入院の場合
住民税非課税世帯で90日を超えて入院される場合、「長期認定」を受けることで食費がさらに軽減されます(現行190円)。ただし自動的に切り替わるわけではなく、別途申請が必要です。詳しくは次のセクションをご確認ください。
低所得者の方へ|軽減措置と申請方法
住民税非課税世帯の方は、「限度額適用・標準負担額減額認定証」を取得することで、一般所得者より低い標準負担額が適用されます。この認定証は自動で発行されるものではなく、ご自身で申請が必要です。
国民健康保険の方はお住まいの区役所・市役所、社会保険(協会けんぽ・健保組合)の方は加入先の健保組合が申請先です。
申請窓口(区役所保険年金課等)またはホームページから申請書を入手します。郵送申請にも対応している自治体がほとんどです。
発行された認定証を入院先の医療機関に提示することで、窓口での支払いが軽減額に自動的に切り替わります。
📱 マイナ保険証を使っている方へ
マイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関では、認定証の提示を省略できる場合があります。ただし、90日超の長期入院に伴う「長期認定」は別途申請が必要なケースもあります。入院先の医療機関に事前に確認しておくと安心です。
申請に不安がある場合は、入院先の医療機関のソーシャルワーカー(医療相談員)に相談してみてください。手続きをサポートしてもらえることがあります。
よくある質問
2026年6月1日以降に提供された食事から新しい負担額が適用されます。5月31日以前から入院されている方でも、6月1日以降の食事は550円(一般所得者)になります。
現行(2025年4月〜)は1食300円です。2026年6月以降の改定額については、複数の情報ソースで確認中のため、詳細はご加入の健康保険組合または入院される医療機関にご確認ください。
2024年・2025年・2026年と3年連続で値上げが行われており、食材費や人件費の高騰が続く限り、今後も見直しが行われる可能性があります。診療報酬改定は通常2年ごとに行われますが、物価動向によっては臨時改定の可能性もゼロではありません。
差額ベッド代(特別療養環境室料)は保険外負担であり、今回の診療報酬改定の対象ではありません。各医療機関が独自に設定するもので、国が一律に改定するものではありません。
まとめ
入院食事代値上げのポイント
-
✓2026年6月1日から、一般所得者の入院食事代は1食510円→550円(+40円)に引き上げられます
-
✓住民税非課税世帯(低所得Ⅱ)は240円→270円(+30円)、低所得Ⅰは110円→130円(+20円)
-
✓2024年・2025年・2026年と3年連続の値上げ。460円→550円へ、2年間で+90円(約20%増)
-
✓食事代は高額療養費の対象外。治療費の上限管理とは別枠で全額自己負担になる点に注意
-
✓住民税非課税世帯は「限度額適用・標準負担額減額認定証」を事前に申請しておくと軽減額が適用される
入院の備えとして、食事代は治療費と別に計上しておくことが大切です。日用品の価格が毎日変動するように、医療費の制度も見直しが続いています。プライシーでは日用品・生活用品の価格変動をリアルタイムで確認できますので、ぜひ節約にお役立てください。
