「年金が値上がりした」というニュースを見て、「自分はいつからいくら増えるの?」「保険料も上がるの?」と気になっていませんか。2026年度(令和8年度)は4年連続のプラス改定となりましたが、物価の上昇ほどには上がっていないのが実情です。この記事では、受給額と保険料の具体的な変化を、わかりやすく整理してお伝えします。

結論
2026年度の年金はいつからいくら増える?

国民年金(満額)は月額70,608円(前年度より+1,300円)、厚生年金(夫婦2人モデル)は月額237,279円(+4,495円)に改定されました。
改定分が実際に振り込まれるのは2026年6月15日(月)から。4月分・5月分が合わせて支払われます。
一方、国民年金保険料も月額17,920円(前年度より+410円)に値上がりしています。

2026年度の年金受給額はいつからいくら増える?

2026年1月23日、厚生労働省から令和8年度の年金額改定が正式に発表されました。厚労省プレスリリースによると、国民年金(基礎年金)が前年度比+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が+2.0%の引き上げです。4年連続のプラス改定となります。

国民年金(老齢基礎年金)の受給額

2026年度(令和8年度)
70,608
月額・満額(昭和31年4月2日以降生まれ)
+1,300円 ↑
2025年度(令和7年度)
69,308
月額・満額

年額にすると847,300円です(前年度比+15,600円)。なお、昭和31年4月1日以前生まれの方の場合は月額70,408円(+1,300円)となっています。

🔍 月70,608円とは何を指す?自分はいくら?

これは20〜60歳の40年間(480か月)すべての保険料を納付した場合の「満額」です。未納・免除期間がある方は、その分だけ減額されます。

自分の概算受給額(月額)は次の計算式でわかります:

70,608円 ×(保険料納付済み月数 ÷ 480か月)

例えば保険料を420か月(35年)納めた場合:70,608円 × 420÷480 ≒ 61,782円/月。正確な見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておくと安心です。

厚生年金(老齢厚生年金)の受給額

区分 2026年度(月額) 2025年度(月額) 増減
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む) 237,279円 232,784円 +4,495円
うち厚生年金(報酬比例部分のみ) 96,063円 94,168円 +1,895円
国民年金(老齢基礎年金満額) 70,608円 69,308円 +1,300円

厚生年金の「夫婦2人モデル」とは、平均標準報酬45.5万円・40年間加入した夫の老齢厚生年金と、2人分の老齢基礎年金(満額)を合計したものです。実際の金額は加入期間や収入によって大きく変わりますので、あくまで目安としてご参照ください。

「自分の受取額」はどのくらい?経歴別の参考例

厚労省が発表している経歴別の受給例(2026年度改定後)を参考にご覧ください。

経歴タイプ 老齢基礎年金 老齢厚生年金 合計(月額)
会社員中心
平均収入50.9万円・厚生年金39.8年
69,951円 106,842円 173,457円
自営業・フリーランス中心
第1号被保険者中心・厚生年金7.6年
48,896円 14,617円 63,513円
専業主婦(夫)中心
第3号被保険者中心・厚生年金6.7年
69,016円 9,234円 76,810円

こうして見ると、働き方によって受取額に2〜3倍もの差があることがわかります。自分がどのタイプに近いか確認しながら読んでみてください。

増額分が実際に振り込まれるのはいつ?

年金は「偶数月の15日に、前2か月分をまとめて支払う」仕組みです。令和8年度の改定(4月分〜)が初めて反映されるのは、2026年6月15日(月)の支払分からです。

💡 支給スケジュールのポイント

「4月から値上がりするのに6月まで増えないの?」と思われるかもしれませんが、これは仕組み上のことで、遅れて支給されているわけではありません。6月15日に受け取る金額は「4月分+5月分」のまとめ払いなので、2か月分まとめて増額になります。

2026年度の全支給日一覧

年金は偶数月の15日に支給されます(15日が土日祝の場合は直前の平日)。2026年度の支給日は以下の通りです。

支給日 支給対象月 備考
2026年2月13日(金) 2025年12月・2026年1月分 15日が日曜のため繰り上げ
2026年4月15日(水) 2026年2月・3月分 旧年度額が適用
2026年6月15日(月) 2026年4月・5月分 ← 増額が初めて反映される支給日
2026年8月14日(金) 2026年6月・7月分 15日が土曜のため繰り上げ
2026年10月15日(木) 2026年8月・9月分
2026年12月15日(火) 2026年10月・11月分
2027年2月15日(月) 2026年12月・2027年1月分 2026年度の最終支給

国民年金保険料もいつからいくら値上がり?

年金受給額が増える一方で、現役世代が納める国民年金保険料も値上がりしています。自営業・フリーランス・学生など、第1号被保険者の方はご自身の支払額の変化を確認しておきましょう。

2026年度(令和8年度)の保険料額

2026年度(令和8年度)
17,920
月額(第1号被保険者)
+410円 ↑
2025年度(令和7年度)
17,510
月額

前年度より月額410円の増額で、年間では4,920円の負担増となります。2026年4月分の保険料(5月末が納付期限)から新しい金額が適用されます。

⚠️ 会社員・公務員の方へ

厚生年金に加入している会社員・公務員の方は、国民年金保険料を個別に納付する必要はありません。厚生年金保険料(給与の18.3%を会社と折半)を納めることで、国民年金分も自動的にカバーされます。

2027年度の保険料見通し

2026年1月23日、厚生労働省は2027年度(令和9年度)の国民年金保険料も月額18,290円とすることを公表済みです。現在より370円の追加値上がりが予定されています。

年度 国民年金保険料(月額) 前年度比
2024年度(令和6年度) 16,980円
2025年度(令和7年度) 17,510円 +530円
2026年度(令和8年度) 17,920円 +410円
2027年度(令和9年度) 18,290円(公表済み) +370円(予定)

保険料には法律で上限が設けられており、平成16年度の価格水準で月額17,000円に固定されています。毎年実際に徴収される金額は、この上限額に「保険料改定率」(賃金・物価の変動を反映)を掛けて計算されます。保険料は際限なく上がり続けるわけではありませんが、しばらくは増加傾向が続く見込みです。

年金の値上げはなぜ物価ほど増えないの?仕組みを解説

「なぜ毎年変わるの?」「なぜ物価が3.2%上がったのに年金は1.9%しか増えないの?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。少し仕組みを理解しておくと、将来の年金額を予測する上でも役立ちます。

物価スライドとは

年金額は、物価や賃金の変動に合わせて毎年自動的に改定される仕組みになっています。これを「物価スライド(賃金スライド)」と呼びます。受給者の購買力を一定程度維持するための仕組みです。

2026年度の改定では、以下の2つの指標が使われました。

指標 2026年度に使われた数値
消費者物価指数(CPI)変動率 +3.2%(令和7年/2025年)
名目手取り賃金変動率 +2.1%(令和8年度適用)

物価上昇率(3.2%)が賃金上昇率(2.1%)を上回っている場合、年金制度の担い手である現役世代の賃金に合わせる(低い方を採用する)というルールになっています。そのため、今回の基準は2.1%となりました。

マクロ経済スライドとは(ブレーキの仕組み)

さらに、この改定率から「マクロ経済スライド」と呼ばれる調整がかけられます。これは少子高齢化(現役世代の減少・平均寿命の伸び)に対応するため、賃金・物価が上昇しても年金の伸びを自動的に抑える仕組みです。「年金減額制度」とも表現されます。

年金の種類 計算式 2026年度の改定率
国民年金(老齢基礎年金) 2.1% − 0.2% = 1.9% +1.9%
厚生年金(報酬比例部分) 2.1% − 0.1% = 2.0% +2.0%

基礎年金のマクロ経済スライド調整率が▲0.2%に対し、厚生年金は▲0.1%(1/3に緩和)となっています。これは厚生年金受給者への配慮に加え、将来の給付水準確保を目的とした政策によるものです。

なぜ物価ほど上がらないのか

物価が3.2%上昇したにもかかわらず、年金は1.9%しか上がらない。これは「意図的な設計」です。現役世代の人口が減り続ける中で年金財政を持続させるため、受給額の伸びをあえて抑制しているのです。短期的には受給者にとって不利に見えますが、制度が破綻しないための仕組みです。

「名目は増額・実質は目減り」の現実

受給額の数字(名目額)は確かに増えていますが、私たちが気になるのは「実際に買えるものが増えたか」、つまり実質的な購買力ですよね。この点を正直にお伝えします。

物価が3.2%上昇したペースで年金も増えていたとしたら、どうなっていたでしょうか。実際の2026年度の受給額と比較してみましょう。

⚠️ 実質目減りの試算(2026年度)
国民年金(満額)— 物価ペースで上がった場合 71,526円/月
国民年金(満額)— 実際の2026年度額 70,608円/月
差額(実質目減り) ▲918円/月(▲11,016円/年)
厚生年金(夫婦2人)— 物価ペースで上がった場合 240,233円/月
厚生年金(夫婦2人)— 実際の2026年度額 237,279円/月
差額(実質目減り) ▲2,954円/月(▲35,448円/年)

厚生年金を受け取っている夫婦世帯では、物価ベースで比較すると年間で約3万5,000円分の実質目減りが生じています。スーパーでの食品の値上がりを肌で感じているのに「年金が増えた」と実感しにくいのは、こういった背景があるからです。

「損している」と感じるかもしれませんが、これはマクロ経済スライドの設計通りの動き。将来にわたって年金制度を維持するためのブレーキである、ということを理解しておくと、将来への備えを考えるきっかけにもなります。日々の買い物の価格変動を把握することも、生活防衛の一つの方法です。

将来の年金はどうなる?今後の見通し

「これからも毎年上がり続けるの?」「いつまで保険料を払えばいいの?」という不安をお持ちの方も多いはずです。現時点でわかっている情報をまとめます。

2027年度の保険料はすでに公表済み

先述の通り、2027年度(令和9年度)の国民年金保険料は月額18,290円とすることがすでに公表されています。2026年度(17,920円)からさらに370円増えます。保険料の法定上限(H16年度価格水準で月額17,000円)に対して、物価・賃金の変動を反映した結果です。

基礎年金底上げ制度改革の動向

2025年6月に成立した年金制度改革法案では、厚生年金の積立金を活用して老齢基礎年金を底上げする方針が盛り込まれました。このまま放置すると2057年までに基礎年金が約3割減額される見通しに対し、底上げを行うことで2037年時点での減額幅を抑制する内容です。

⚠️ 実施はまだ決定していません

底上げ制度改革の実施可否は2029年以降の財政検証のタイミングまで先送りされています。現時点では「法案に盛り込まれた方針」であり、実際に実施されるかどうかは今後の政策判断次第です。

また、働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」については、年金が減額される基準額が51万円→65万円に大幅引き上げられました(2026年度)。これにより、より高い収入を得ながら年金を満額受け取れる方が増えます。

よくある質問
2026年度の国民年金(満額)はいくらですか?

昭和31年4月2日以降生まれの方は月額70,608円(年額847,300円)です。昭和31年4月1日以前生まれの方は月額70,408円となります。前年度(69,308円)より1,300円の増額です。なお、これは40年間(480か月)の保険料をすべて納めた場合の「満額」です。未納・免除期間がある場合はその分減額されます。

年金の増額はいつから振り込まれますか?

2026年度の改定(+1.9%/+2.0%)が反映された初回の振込は2026年6月15日(月)です。年金は偶数月の15日に前2か月分がまとめて支払われる仕組みです。6月15日には「4月分+5月分」が振り込まれ、どちらも2026年度の改定額が適用されます。

2026年度の国民年金保険料はいくらですか?

2026年度(令和8年度)の国民年金保険料は月額17,920円です(前年度17,510円より+410円)。年額では215,040円となります。なお、2027年度(令和9年度)の保険料はすでに月額18,290円とする予定が公表されています。

年金が増えても物価も上がっているので、実際には損しているのでは?

おっしゃる通りで、実質的な購買力は低下しています。2026年度の物価上昇率は3.2%であったのに対し、年金の増額率は基礎年金1.9%・厚生年金2.0%にとどまりました。この差分がいわゆる「実質目減り」です。これはマクロ経済スライドという制度設計によるもので、少子高齢化が続く中で年金財政を維持するための仕組みです。生活費の変動を日頃からチェックしておくことが、家計管理の観点からも重要です。

在職老齢年金の基準額も変わりましたか?

はい、2026年度から年金の支給停止が生じる基準額が51万円から65万円に大幅に引き上げられました。これにより、賃金(賞与込みの月収換算)と老齢厚生年金の合計が月65万円以下であれば、年金が減額されずに受け取れるようになります。働きながら年金を受け取っている方には朗報です。

まとめ:2026年度の年金改定ポイント

  • 受給額:国民年金(満額)70,608円/月(+1,300円)、厚生年金(夫婦2人モデル)237,279円/月(+4,495円)
  • 振込タイミング:2026年6月15日から。4月分・5月分(令和8年度分)がまとめて支払われる
  • 保険料:国民年金保険料は月額17,920円(前年度比+410円)。2027年度は18,290円が公表済み
  • 改定率の仕組み:物価3.2%上昇・賃金2.1%上昇 → 低い方の賃金率を採用し、マクロ経済スライドで▲0.2%(基礎年金)を差し引き
  • 実質目減り:物価上昇ペースには届かず、国民年金満額では年間約1万1,000円、厚生年金(夫婦2人)では年間約3万5,000円相当の実質目減り

年金額は毎年変動しますが、物価の動きとの差分が積み重なると、長期的な家計への影響は小さくありません。毎日の買い物で感じる物価の変動を数字で把握しておくことも、賢い家計管理の第一歩です。

商品の価格変動、プライシーでチェックしよう

年間1億件以上の価格データをもとに、食品から家電まであらゆる商品の価格推移をスマホで確認できます。

プライシーアプリを無料で使う

記事の内容は執筆時点の情報を基にしています。掲載している価格・日程・仕様等は変更になる場合があります。最新情報はご自身でご確認ください。