住宅ローンを検討していると、必ず出てくるのが「団信(団体信用生命保険)」の選択。一般団信・がん団信・三大疾病団信・全疾病団信……と種類が多くて、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。この記事では、団信の種類と保障内容を徹底比較したうえで、銀行別の上乗せ金利コストまで含めて整理します。「自分に合う団信はどれか」がこの1ページで判断できるようになっています。

結論
団信選びは「年齢」と「予算」でルートが変わります
20〜30代・健康体 ネット銀行の無料団信(がん50%付帯)で十分。余計な上乗せは不要
40代以上・がん心配 auじぶん銀行のがん100%保障(+0.05%)や住信SBIの3大疾病50%(無料)が選択肢
夫婦でローンを組む ペアローン連生団信で2人ともの保障を確認。どちらに万が一があってもローン残高が消える
持病あり ワイド団信(+0.3%程度)またはフラット35(団信任意加入)が選択肢。まずワイド団信を試す

団信(団体信用生命保険)とは?住宅ローンで必須の理由

団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローンの返済中に借入者が死亡または高度障害状態になった場合に、残りのローン残高が保険金で全額完済される保険のことです。残された家族が住宅ローンを引き継がなくて済むため、「家族を守る保険」として機能します。

民間の住宅ローン(銀行・ネット銀行など)では、団信への加入は原則必須です。団信に加入しないと住宅ローンを借りられません。これはフラット35と大きく異なる点です。

保険料は金利に組み込まれている

団信の大きな特徴は、保険料を別途支払う必要がない点です。保険料は金利の中に含まれており、月々の返済の中で自動的に支払われています。そのため、加入しても手続きの手間や追加の出費を感じにくいのですが、上乗せ団信(がん保障など)を選ぶ場合は、その分の保険料が金利上乗せという形でコストに反映されます。

💡 生命保険料控除の対象外

団信の保険料は、住宅ローンの金利に含まれているため、個人が直接支払うわけではありません。そのため、生命保険料控除の対象にはなりません。個人で加入する民間の生命保険とは異なる点に注意してください。

フラット35の団信は任意加入 — 民間ローンとの違い

住宅金融支援機構の「フラット35」は、団信への加入が任意です。フラット35の新機構団信に加入しない場合、金利が全期間にわたって0.2%引き下げになります。健康状態の問題で民間の団信に加入できない場合も、フラット35であれば団信なしで借りられる可能性があります。

⚠️ 団信は後から変更できない

団信は住宅ローンの契約時にしか選べません。後から「やっぱりがん団信に変えたい」と思っても変更できないので、契約前にしっかり検討することが重要です。

団信の種類と保障内容を徹底比較

団信にはいくつかの種類があり、保障内容が大きく異なります。まずは各種類の違いを整理しましょう。

種類 保障内容 上乗せ金利(目安) 向いている人
一般団信 死亡・高度障害 無料(金利に内包) コスト重視・若年層
がん団信(50%保障) がん診断でローン残高50%免除 多くのネット銀行で無料 コスパを求める全員
がん団信(100%保障) がん診断でローン残高全額免除 年+0.1〜0.2% がんリスクが気になる人
三大疾病団信 がん・脳卒中・急性心筋梗塞でローン残高免除 年+0.2〜0.3% 血管系の家族歴がある人
全疾病保障団信 あらゆる病気・ケガで就業不能時に対応 年+0.1〜0.3%(無料の場合も) 幅広いリスクに備えたい人
ワイド団信 一般団信と同等(引受条件が緩和) 年+0.3%程度 持病があって一般団信に入れない人
夫婦連生団信 どちらかに万が一があれば残高全額免除 銀行によって異なる ペアローンを組む夫婦

一般団信 — 死亡・高度障害のみをカバー

すべての住宅ローンに標準付帯される最も基本的な団信です。借入者が死亡または高度障害状態になった場合にローン残高が免除されます。若くて健康体であれば、一般団信で十分というケースも多いです。

がん団信(50%保障・100%保障)

がんと診断された場合にローン残高の一部または全部が免除されます。50%保障は多くのネット銀行で無料付帯されており、まず検討すべきオプションです。

50%保障と100%保障では、実際に受け取れる保険金の額が大きく変わります。具体的にシミュレーションしてみましょう。

💡 がん診断時の保険金シミュレーション(借入残高2,000万円の場合)
一般団信(がん保障なし) 免除額:0円(自分または家族がローンを返済)
がん50%保障団信(無料付帯) 免除額:1,000万円(残高の半額が消える)
がん100%保障団信(有料) 免除額:2,000万円(ローン残高が全額ゼロに!)

ただし、注意が必要なのは除外条件です。上皮内新生物(いわゆる「ゼロ期がん」)や皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは保障対象外となるケースが多いです。また、契約開始から90日以内(銀行によっては3ヶ月以内)に診断されたがんも免責期間として対象外となります。

⚠️ がん団信の発動条件は「診断確定」が基本

がん団信は「がんと診断されただけ」で発動するものと、「一定の状態が継続した場合」にのみ発動するものがあります。金融機関ごとに条件が異なるため、契約前に必ず約款を確認してください。

三大疾病団信(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)

日本人の死因上位を占める「がん・脳卒中・急性心筋梗塞」の3つに対応した団信です。ただし、脳卒中と急性心筋梗塞については「60日以上所定の状態が継続した場合」という条件付きのものが多く、診断だけでは発動しないケースがある点に注意が必要です。

血管系の疾患が家族に多い方や、仕事でストレスが多い方は検討する価値があります。

全疾病保障団信・就業不能保障団信

あらゆる病気・ケガで就業不能状態になった場合に保障される、最も幅広い種類の団信です。精神疾患は対象外のケースが多いですが、それ以外のほぼすべての疾病・ケガをカバーしています。住信SBIネット銀行の「スゴ団信」は、就業不能状態が12ヶ月(特定疾病)または24ヶ月(その他の疾病・ケガ)継続した場合にローン残高が全額免除される仕組みです。

ワイド団信 — 持病がある方向け

一般団信の引受審査で断られた場合でも、引受条件が緩和されたワイド団信であれば加入できる可能性があります。糖尿病・高血圧・肥満などの持病がある方に向いています。上乗せ金利は年0.3%程度が一般的です。

夫婦連生団信・ペアローン団信

夫婦2人でローンを組む場合(ペアローン)に、どちらかに万が一があった場合でも残高が全額免除される仕組みです。auじぶん銀行などが取り扱っています。ただし、保険金が支払われた場合、支払事由に該当していない方のローンが免除された分が「一時所得」として課税対象になる可能性があるため、税務上の注意が必要です。

銀行別・団信の上乗せ金利と保障内容の比較表(2026年5月現在)

同じ「がん団信付き」でも、銀行によって保障の厚さと金利上乗せのコストは大きく異なります。ネット銀行を中心に、主要銀行の団信プランを比較してみましょう。

銀行 無料で付帯される保障 有料オプション 上乗せ金利
auじぶん銀行 がん50%+4疾病50%+全疾病入院保障(50歳以下) がん100%保障 +0.05%(がん100%)
+0.15%(がん100%プレミアム)
住信SBIネット銀行(スゴ団信) 3大疾病50%+全疾病保障(50歳未満) 3大疾病100% 有料は要確認(公式サイト)
ソニー銀行 死亡・高度障害のみ がん団信・3大疾病団信 +0.1〜0.3%(保障内容による)
楽天銀行 がん50%保障(無料付帯) がん100%・三大疾病等 要公式サイト確認
PayPay銀行 がん50%保障(無料付帯) がん100%・全疾病等 要公式サイト確認
大手銀行(三菱UFJ・みずほ等) 死亡・高度障害のみ がん・三大疾病・全疾病 +0.1〜0.3%(内容による)

📌 金利は毎月改定されます

上記の金利は2026年5月時点の情報をもとにした目安です。各銀行の適用金利は毎月変動しますので、実際に申し込む際は必ず各銀行の公式サイトで最新金利をご確認ください。

上乗せ0.1% vs 0.3% — 30年間の総コスト差を試算

「たった0.1%の上乗せ」と思いがちですが、30年という長い返済期間で計算すると、その差は無視できない金額になります。借入3000万円・30年返済で試算してみます。

💰 3,000万円・30年返済での上乗せ金利コスト試算(元利均等返済)
上乗せなし(ベース金利のみ)
上乗せ+0.05%(auじぶん銀行 がん100%) 約+24万円
上乗せ+0.1%(がん100%・標準的) 約+48万円
上乗せ+0.2%(三大疾病・下限) 約+96万円
上乗せ+0.3%(三大疾病・上限・ワイド団信) 約+144万円

上乗せ0.3%で30年間の追加コストは約144万円にのぼります。「保険料として毎月支払う」というよりも、「ローン総返済額が増える」というイメージで捉えると、コスト感がつかみやすいですよ。

ネット銀行 vs 大手銀行 — 団信で選ぶならネット銀行が有利

大手銀行の多くは基本の団信(死亡・高度障害)のみ無料で、がん保障や疾病保障は有料オプションになります。一方、auじぶん銀行・住信SBIネット銀行・楽天銀行などのネット銀行は、50歳以下であればがん50%保障や全疾病保障が無料で付帯するケースが増えています。団信の充実度という点では、ネット銀行が圧倒的に優位といえるでしょう。

自分に合う団信の選び方 — 年齢・健康状態・目的別の判断フロー

保障内容とコストを理解したうえで、「では自分はどの団信を選べばいいのか?」という判断が必要になります。年齢・健康状態・家族構成ごとに整理してみましょう。

20-30
20〜30代・健康体の方
→ 無料団信(がん50%付帯)で十分若年層はがんの罹患率が低く、上乗せコストに見合う可能性が低い。ネット銀行の無料がん50%団信を選び、差額分は繰り上げ返済や老後の積立に回すのが合理的です。
40代
40代以上・がんリスクが心配
→ がん100%保障を検討40代になるとがんの罹患率が高まります。auじぶん銀行のがん100%保障(+0.05%)は30年で約24万円の追加コストで、がんリスクをフルカバーできます。コスパが良い選択肢です。
夫婦
夫婦でペアローンを組む場合
→ 連生団信でリスクを分散どちらかに万が一があったとき、片方のローンのみ残るリスクがあります。ペアローン連生団信を選ぶと、2人のうちどちらかに保険事由が発生したときにローン残高が全額免除されます。
持病
持病がある場合
→ ワイド団信またはフラット35まずワイド団信(+0.3%程度)を試してみましょう。ワイド団信でも引受が難しい場合は、フラット35(団信任意加入)という選択肢があります。フラット35であれば団信なしでも借入可能です。

「生命保険で代替」という選択肢も

上乗せ団信を選ばず、代わりに民間の定期生命保険や収入保障保険で備えるという方法もあります。特に若くて健康な方は、民間保険のほうが割安になるケースもあります。ただし、団信は「がんと診断された時点でローン残高が消える」という独自の保障であり、民間の生命保険とは性質が異なります。「どちらかで補えるか」ではなく「それぞれの役割」を理解したうえで判断してください。

また、すでに民間のがん保険や生命保険に加入している方は、団信と保障が重複する可能性があります。二重払いにならないよう、加入済みの保険内容と照らし合わせて判断するのが賢明です。

団信を選ぶ際の注意点・よくある後悔

団信を選ぶ際に多くの方が見落としがちな注意点をまとめました。事前に知っておけば後悔を防げますよ。

① 告知義務違反は保険金不払いのリスクがある

団信の申し込みには「告知書」への記入が必要です。過去の病歴や現在の治療状況を正直に告知しないと、万が一の際に保険金が支払われず、ローン残高が残ってしまうリスクがあります。

「2年経てば時効になる」という情報も見かけますが、重大・悪質な違反については2年経過後も契約が取り消される可能性があります。告知は必ず正直に行ってください。

② がん団信の発動条件は思ったより厳しい場合がある

がん団信はがんと診断されれば発動するケースが多いですが、注意点があります。

  • 免責期間:責任開始日から90日〜3ヶ月以内に診断されたがんは対象外
  • 除外対象:上皮内新生物(0期がん)や特定の皮膚がんは対象外の場合がある
  • 脳卒中・心筋梗塞:「60日以上所定の状態が継続」など、条件が厳しい場合がある

契約前に「どんな状態になったら発動するか」を必ず確認しておきましょう。

③ 団信だけを解約することはできない

「金利が上がったから団信を外したい」ということは原則できません。団信と住宅ローンはセットであり、団信を解約するには住宅ローン全体を解約(完済または借り換え)する必要があります。

④ 既存の生命保険との重複に注意

すでに民間のがん保険や生命保険に加入している場合、団信の上乗せ保障と保障が重複する可能性があります。特に高額ながん保険に加入済みの場合、団信のがん100%保障への上乗せは不要なケースもあります。加入済みの保険内容と照らし合わせてから判断しましょう。

まとめ — 団信選びの3ステップ

🏠 団信を選ぶ3つのポイント

  • 1
    まず無料団信の保障内容を確認する:ネット銀行を中心に、50歳以下であればがん50%保障や全疾病保障が無料付帯されるプランが増えています。まずここをベースにしましょう。
  • 2
    上乗せコストを30年スパンで計算する:「月額の差は小さい」と感じても、0.1%の上乗せで30年間に約48万円のコスト増になります。保障内容と照らし合わせてコストに見合うか判断してください。
  • 3
    年齢・健康状態・家族構成に合わせて選ぶ:20〜30代は無料団信で十分なことも多く、40代以上はがん100%保障への上乗せを検討する価値があります。持病がある場合はワイド団信やフラット35も選択肢に入れましょう。

よくある質問

団信に入れない場合はどうすればいいですか?

主に3つの選択肢があります。①ワイド団信(引受条件緩和型)への加入を試みる、②フラット35(団信任意加入)を利用する、③民間の引受条件緩和型生命保険でローンリスクをカバーする、という方法です。まずワイド団信に相談してみることをおすすめします。

団信と生命保険の違いは何ですか?

生命保険は「受取人(家族など)」に保険金が支払われますが、団信は「住宅ローンの残高」に直接充当されます。また、団信は住宅ローンの保険料が金利に含まれており、生命保険料控除の対象にはなりません。万が一の際に「家族が現金を受け取る」のが生命保険、「ローン残高が消える」のが団信です。

がん団信と三大疾病団信の違いは?

がん団信はがん(悪性新生物)のみを対象にした保険です。三大疾病団信はがんに加えて「脳卒中」「急性心筋梗塞」も保障対象に含まれます。ただし、三大疾病団信の脳卒中・心筋梗塞は「60日以上所定の状態が継続した場合」という条件付きが多く、がんよりも発動条件が厳しいケースが多いです。

フラット35の団信は任意加入ですか?

はい、フラット35の団信(新機構団信)は任意加入です。加入しない場合、全期間にわたって金利が0.2%引き下げになります。健康状態に不安があり民間の団信に加入できない場合も、フラット35であれば団信なしで借りることが可能です。

団信の告知義務違反はどうなりますか?

告知義務違反が発覚した場合、保険契約が解除され保険金が支払われません。万が一の際にローン残高が残ったまま、残された家族が返済を続けなければならない最悪の事態になります。「2年で時効」という情報もありますが、重大・悪質な違反は2年経過後も取り消しになる場合があります。告知は必ず正直に行ってください。

住宅ローン借り換えで団信をアップグレードできますか?

はい、借り換えのタイミングで団信を変更することは可能です。ただし、借り換え時は再度健康告知が必要になります。その時点の健康状態によっては希望の団信に加入できない場合もあります。借り換えで金利を下げつつ、充実した団信へアップグレードするという戦略は有効ですが、健康状態を考慮して計画的に動くことが重要です。

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