モバイルバッテリーは普通ゴミとして捨てることができません。内蔵されているリチウムイオン電池が発火・爆発する危険があるためです。この記事では、モバイルバッテリーの正しい処分方法を、通常品と膨張品それぞれのケースに分けて具体的な手順とともに解説します。
①JBRC回収ボックス(家電量販店等に設置)に持ち込むのが最も手軽です。②お住まいの自治体の回収サービスを利用する方法、③メーカーの回収サービスに送付する方法もあります。
いずれの方法でも、処分前に端子をテープで覆う「絶縁処理」が必要です。膨張したバッテリーはJBRC回収ボックスに入れられないため、自治体の窓口に直接相談してください。
| 処分方法 | 費用 | 膨張品 | メーカー不明品 | 手軽さ |
|---|---|---|---|---|
| ①JBRC回収ボックス | 無料 | 不可 | 会員企業のみ | ★★★ |
| ②自治体回収 | 無料 | 対応可 | 対応可 | ★★☆ |
| ③メーカー回収 | 送料のみ | メーカーによる | 自社製品のみ | ★☆☆ |
または自治体・メーカー回収
直接相談・持ち込み
(2026年4月〜対応拡大)
モバイルバッテリーを普通ゴミで出してはいけない理由
モバイルバッテリーに内蔵されているリチウムイオン電池は、ゴミ収集車やごみ処理施設で押しつぶされると発火・爆発する危険があります。
環境省の調査によると、リチウムイオン電池の混入による廃棄物処理施設での火災事故は令和5年度に8,543件発生しており、令和4年度の4,260件から約2倍に急増しています。原因品目ではモバイルバッテリーが最も多く、ゴミ収集車の車両火災にもつながっています。
絶対にやってはいけないこと
モバイルバッテリーを可燃ゴミ・不燃ゴミ・資源ゴミに混ぜて捨てることは、法令で禁止されている自治体がほとんどです。発火事故の原因になるだけでなく、収集作業員の命に関わります。
リチウムイオン電池が危険な理由
リチウムイオン電池は、外部から強い衝撃や圧力を受けると内部でショートが起き、急激に発熱して発火します。特にゴミ収集車の圧縮装置では大きな圧力がかかるため、他のゴミと一緒に出すと非常に危険です。
処分方法①|JBRC回収ボックスに持ち込む(家電量販店など)
最も手軽な処分方法は、家電量販店などに設置されているJBRC(一般社団法人JBRC)の回収ボックスに持ち込むことです。費用は無料で、予約も不要です。
JBRC回収ボックスの対象条件
JBRCが回収できるのは、以下の条件を満たすモバイルバッテリーです。
- JBRC会員企業の製品であること(Anker、エレコム、バッファロー等の主要メーカーは加盟済み)
- 電池の種類が明確であること(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニカド電池のいずれか)
- 外部ダメージがないこと(膨張・破損・水濡れがある場合は回収不可)
リサイクルマークがなくても大丈夫
リサイクルマーク(スリーアローマーク)がなくても、JBRC会員メーカー名と電池種の記載があれば回収対象になります。
回収ボックスの探し方
JBRCの公式サイトにある「協力店・協力自治体検索」で、お住まいの地域の回収ボックス設置店舗を探せます。主な設置場所は以下のとおりです。
- 家電量販店(ヤマダ電機、ビックカメラ、ケーズデンキ、ヨドバシカメラ等)
- ホームセンター
- スーパーマーケット
- 自治体の公共施設
持ち込み前の準備と手順
USB端子などの金属部分をビニールテープやセロハンテープで覆います(詳しい手順は後述)。
店舗に設置されている「小型充電式電池リサイクルBOX」にそのまま入れます。レジで店員に渡す必要はありません。
処分方法②|自治体の回収サービスを利用する
お住まいの自治体でもモバイルバッテリーの回収を行っています。JBRC回収ボックスが近くにない場合や、メーカー不明のバッテリーを処分したい場合に便利です。
2026年4月の法改正で自治体回収が拡大
2026年4月に改正資源有効利用促進法が施行され、モバイルバッテリーが「指定再資源化製品」に追加されました。年間1,000台以上を生産・輸入するメーカーに回収義務が課されるとともに、環境省が自治体にメーカーを問わない回収を促しており、回収体制は全国的に拡大しています。
コンビニでの回収実証も開始
2025年10月からはKDDIとローソンがリチウムイオン電池内蔵製品の回収実証を開始しています。今後、コンビニでの回収が広がる可能性もあります。
自治体ごとの回収方法の違い
回収方法は自治体によって異なります。主な方式は以下の3つです。
| 回収方式 | 概要 | 例 |
|---|---|---|
| 拠点回収 | 公共施設や指定場所に回収ボックスを設置 | 多くの自治体で採用 |
| 窓口持ち込み | リサイクルプラザ等の窓口に直接手渡し | 山口市等 |
| 戸別収集 | ゴミ収集日に指定の出し方で排出 | 一部の自治体で対応 |
お住まいの自治体の公式ホームページで「モバイルバッテリー 処分」と検索するか、ゴミ分別アプリで確認するのが確実です。
処分方法③|メーカーの回収サービスを利用する
メーカーが独自に実施している回収サービスを利用する方法もあります。特にAnkerは積極的な回収体制を整えています。
Ankerの回収サービス
Ankerの回収サービスは以下の特徴があります。
- 対象:Anker製のモバイルバッテリーおよびポータブル電源(保証期間外・故障品・中古品もOK)
- 費用:回収自体は無料(ただし送料は自己負担の元払い)
- 方法:郵送のみ。品名欄に「リチウムイオン電池」と記載して送付
- 送付先:神奈川県川崎市川崎区日進町7-1 川崎日進町ビルディング12F アンカー・ジャパン株式会社 回収サービス係
2026年2月からはAnkerの回収ボックスが順次設置されており、郵送以外の選択肢も広がりつつあります。
その他メーカーの対応状況
2026年4月の法改正により、年間1,000台以上を生産・輸入するメーカーには回収義務が発生しています。お手持ちのモバイルバッテリーのメーカー公式サイトで、回収サービスの有無を確認してみてください。
処分前にやるべき絶縁処理の手順
どの処分方法を選ぶ場合でも、処分前に端子の絶縁処理が必要です。端子がむき出しのまま他の金属に触れるとショートして発火する恐れがあります。
用意するもの
- ビニールテープ(セロハンテープでも可)
絶縁処理のステップ
バッテリーの残量が少ないほど安全です。ただし、膨張・破損しているバッテリーは充電・放電しないでください。
USB-CやLightningなど、すべての端子部分をビニールテープでしっかり覆います。テープが剥がれないよう、端面まで巻き込むと安心です。
絶縁処理後は、鍵や硬貨など他の金属と一緒にしないよう注意して、回収場所に持ち込みます。
膨張したモバイルバッテリーの処分方法
膨張したモバイルバッテリーは通常の回収ルートが使えないため、処分方法が異なります。放置すると発火の危険が高まるため、早めに対処しましょう。
なぜモバイルバッテリーは膨張するのか
モバイルバッテリーの膨張は、内部のリチウムイオン電池が経年劣化により電解質が酸化し、ガスが発生することで起こります。高温環境での使用や過充電が劣化を早める原因になります。
膨張バッテリーでやってはいけないこと
穴を開ける・分解する・ガス抜きをする行為はNITE(製品評価技術基盤機構)が厳禁としています。内部の可燃性ガスに引火し、爆発する危険があります。充電や放電もしないでください。
膨張バッテリーはJBRC回収ボックスに入れられない
JBRCの回収対象は「外部ダメージがない電池」に限定されており、膨張・破損した製品は回収ボックスに入れることができません。家電量販店(ヤマダ電機、ビックカメラ等)の回収ボックスも同様に膨張品は対象外です。
膨張バッテリーの処分先
膨張したモバイルバッテリーの処分は、お住まいの自治体の窓口に相談するのが最も確実です。
- 自治体のリサイクルプラザや清掃事務所に直接持ち込み、職員に手渡す方式が一般的(例:山口市)
- 自治体によっては「膨張電池」と表示して袋に入れる方式(例:横浜市)
- メーカーの回収サービスも利用可能。Ankerの場合は故障・破損品も回収対象
まずは自治体のゴミ相談窓口に「膨張したモバイルバッテリーを処分したい」と電話で問い合わせてみてください。
電話での問い合わせ例
「モバイルバッテリーが膨張しているのですが、そちらで回収していただけますか?」と伝えれば、持ち込み方法や受付時間を案内してもらえます。自治体名と「モバイルバッテリー 処分」でWebで検索しておくと、事前に窓口の連絡先がわかります。
膨張バッテリーの一時保管方法
すぐに処分できない場合は、以下の方法で安全に一時保管してください。
すべての端子をビニールテープで覆います。
金属製の鍋や缶、陶器製の容器にバッテリーを入れます。プラスチック容器は避けてください。
直射日光を避け、涼しく換気の良い場所に置きます。重い物を上に載せないでください。
一時保管はあくまで応急措置です。できるだけ早く自治体やメーカーに相談して処分してください。
モバイルバッテリーの処分に関するよくある質問
メーカーが不明でJBRC回収ボックスに入れられない場合は、お住まいの自治体に相談してください。2026年4月の法改正により自治体でのメーカー不問の回収が拡大しており、多くの自治体で受け入れてもらえます。
乾電池式のモバイルバッテリーは、まず乾電池を取り外して「使用済み乾電池」として処分します。本体はプラスチックごみまたは不燃ごみとして、お住まいの自治体のルールに従って処分してください。
基本的に無料です。JBRC回収ボックスへの投入は無料、自治体の回収サービスも無料です。メーカー回収サービスの場合、Ankerは回収自体は無料ですが送料は自己負担(元払い)です。
2026年3月時点では、コンビニでの回収は一般的ではありません。ただし、KDDIとローソンが回収実証を開始しており、今後コンビニでの回収が広がる可能性があります。現時点では家電量販店のJBRC回収ボックスか、自治体の回収サービスをご利用ください。
一般的にリチウムイオン電池の寿命は300〜500回の充放電サイクルが目安とされています。使用頻度にもよりますが、おおよそ2〜3年で性能低下が目立ち始めます。充電してもすぐに減る、本体が熱くなる、膨張しているといった症状があれば処分・買い替えのサインです。
まとめ
モバイルバッテリーの処分方法まとめ
- モバイルバッテリーは普通ゴミで捨ててはいけない(発火事故のリスク)
- 処分方法は①JBRC回収ボックス ②自治体回収 ③メーカー回収の3つ
- 処分前に端子をテープで覆う「絶縁処理」が必要
- 膨張したバッテリーはJBRC回収ボックスNG → 自治体窓口に相談
- 2026年4月の法改正で回収体制は全国的に拡大中
モバイルバッテリーの処分は少し手間がかかりますが、正しい方法で処分することで火災事故を防ぎ、貴重な資源のリサイクルにもつながります。まずはお住まいの地域のJBRC回収ボックスか、自治体の窓口を確認してみてください。
なお、新しいモバイルバッテリーの購入を検討する際は、プライシーで価格推移をチェックすると、お得なタイミングで買い替えられます。
